和歌山港・護衛艦あきづき艦上にて
先日より昨年7月16・17日に和歌山港で艦艇広報を行った海上自衛隊の護衛艦あきづきの装備品を掲載中です。海自ネタもかなり消費が進んでいますが、掃海艇2隻がまだ残っている状況。
7月16日に行われたのは応募者向けの特別公開で、17日に行われたのは一般公開でした。自分は両日とも参加しています。今回掲載しているのはほとんど16日に撮影した写真ですね。
今回掲載するのは高性能20mm機関砲。海上自衛隊が多くの護衛艦に搭載している艦載用近接防御火器システムで、かなりメジャーな装備品ですね。体験航海などでは動作展示が行われることもあります。
高性能20mm機関砲という名称は海上自衛隊で使用されている物で、開発を行ったアメリカではMk15 ファランクスという名称が付けられています。
開発はジェネラル・ダイナミクス社が行い、1969年に研究開始、1970年から試験が行われ、1980年からアメリカ海軍での配備が始まっています。現在生産を行っているのはレイセオン社。
このファランクスは既存の20mm機関砲であるM61バルカンに俯仰旋回可能なマウントと捜索・追尾用レーダーを組み合わせており、独立した火器管制システムを持つ完全自動の防空火器となっています。
主な攻撃目標は自艦に突入してくる対艦ミサイルであり、電子妨害や対空ミサイルをかいくぐってきた対艦ミサイルに対する最終的な防御手段として使用されますね。
機関砲は20mm口径の6砲身ガトリング砲で、元々は航空機の機関砲として用いられていた物です。その上部にあるのがレーダーで、円筒形の部分に追尾レーダーが、その上部の半球形の部分に捜索レーダーが納められています。動作周波数はどちらもKuバンド。
砲身の下部にあるのが弾倉で、989発分の容量があります。バルカンの発射速度は毎分3000発なので、約20秒で撃ち尽くす計算となりますね。改良型では弾倉容量が増加されました。
砲身・レーダー・弾倉がマウントに載せられており、上部システム全体が俯仰旋回します。最初のモデルでは-10度から+80度まで俯仰角をとる事が可能です。旋回は中心線から左右に150度まで可能。
迎撃のプロセスは、目標を探知し射程圏内に入ると射撃を開始、射撃した20mm砲弾をレーダーで追尾し目標との誤差を修正、撃破まで繰り返すというもの。これらの動作が自動で行われます。
ファランクスには最初のモデルであるBlock0からBlock1、1A、1Bの改良型が開発されており、Block1では府仰角を-20度~+80度までとることが可能となり、発射速度が毎分4500発、弾倉容量が1550発に増加しています。
更にBlock1Bでは砲身が延長された物に変更され、レーダーの後身が行われたほか、赤外線センサーによる光学照準が可能となり、遠隔手動操作も可能となっています。府仰角は更に範囲が拡大され、-25度~+85度までとる事ができる様になりました。また俊敏性も向上し、俯仰方向の移動速度が毎秒86度から115度となり、旋回砲口は毎秒100度から116度となっています。
海上自衛隊では1981年就役のしらね型護衛艦2番艦「くらま」から高性能20mm機関砲の搭載を開始しました。当時アメリカ海軍では劣化ウラン弾を使用していましたが、海上自衛隊ではタングステン弾を使用しています。
改良型のBlock1はむらさめ型から、Block1Bはたかなみ型から搭載されています。あきづき型護衛艦には退役した護衛艦から流用されたBlock1Aが搭載されているようですね。
正面から撮影。前方の高性能20mm機関砲は艦橋前方に装備されています。
砲身・弾倉とマウント部の拡大。砲身のブレを抑えるため支柱が取り付けられていますね。高速で突入してくる対艦ミサイルに対応するため、かなり俊敏な動きを見せてくれます。
後部の高性能20mm機関砲。こちらはヘリ格納庫上部に装備されています。前級のたかなみ型護衛艦では右舷側に寄せて配置されていますが、あきづき型護衛艦では中心線上に配置されていますね。
艦首の62口径5インチ単装砲と高性能20mm機関砲。
最後に説明書き。
・・・以上、ようやく書類が揃った。ぽっぽやがお送りしました。