和歌山市にて
2012年に撮影した写真ですが、未掲載だったので掲載します。今は無き南海7000系の付随台車、FS-055。ちょうど良い具合に光が当たってディティールが解りやすいですね。
南海7000系は1963年に登場した南海本線向けの通勤形電車で、1968年までに90両が製造されました。南海本線の主力として活躍していましたが、2015年に運行を終了しています。
7000系は4両編成の場合両先頭車が制御電動車で中間車は付随車となり、2両編成の場合は難波方の先頭車が制御電動車で和歌山市方先頭車が付随車となっていました。
電動車が履いていたのは動力台車のFS-355。主電動機搭載の有無など差はありますが、外見は殆ど同じですね。FS-355・055は7000系の他、南海11001系に更新工事を施した初代1000系でも採用されました。
FS-355・055は軸箱支持装置にミンデンドイツ式を採用した空気バネ台車です。ミンデンドイツ式は軸箱を垂直方向と水平方向の板バネで支持する方式のこと。
1930年代にドイツ国鉄のミンデン研究所が開発した方式であり、線路方向に剛性の高い板バネを用いるため直進安定性が高く高速走行に向いているという特徴があります。
一方で高い工作精度を要求され、保守に関しても手間がかかることから大手私鉄以外では普及しませんでした。なお板バネは軸箱の支持・案内を行うのみで、緩衝は軸バネが行います。
車体支持装置はスイングハンガー式で、車体荷重は心皿と側受を介して上揺れ枕に伝わり、上揺れ枕にかかった荷重は台車枠と繋がった下揺れ枕に伝えられます。
台車枠にかかった荷重は軸バネと軸箱を介して車軸に達しますね。逆に車軸からの振動は軸バネと枕バネで吸収されます。軸バネにはコイルバネ、枕バネにはベローズ式空気バネを使用していますね。
このFS-355・055は台車の全長が4255mmで軸距は2300mm。車輪径は860mm。電動台車のFS-355は電動機として115kWのMB-3072-Aを2基搭載します。
なお軸箱の緩衝装置としてオイルダンパを取り付ける事が可能で、写真でも軸箱と台車枠に台座が確認できます。実際に取り付けられていたこともあったようですが、写真では取り外されていますね。
また初代1000系のために新造されたFS-355は後に南海6000系に転用され、付随台車として使用されています。6000系に転用されたFS-355は軸バネがゴムを巻いたエリゴバネとなっていますね。
・・・以上、やっぱり台車は楽しいな。ef_end_63がお送りしました。