神戸港にて
神戸港に繋留されていた海上保安庁のつがる型巡視船7番船 PLH07「せっつ」。神戸港を母港とするヘリコプター搭載型巡視船で、紀伊水道にもよく現れるためお馴染みのPLHです。
撮影日は今年3月31日で、この日は午前中に神戸で所用を終わらせ、午後から観光していました。今回の写真は遊覧船の上から撮影したもの。上に見切れているのは神戸大橋です。
つがる型巡視船は海上保安庁が1979年から運用しているヘリコプター搭載型巡視船で、9隻が建造されました。9番船が就役したのは2001年で、長きにわたって建造されたPLHですね。
そのため建造途中で様々な改良が加えられており、各船で排水量が微妙に異なるようです。また8番船の「りゅうきゅう」以降は船体から異なる事実上の新型ですね。
海上保安庁では1977年の領海拡大、排他的経済水域設定による管轄海域の大幅な拡大に対応するべくヘリコプターを搭載可能な巡視船の導入を構想し、1978年に巡視船「そうや」を就役させました。
そうや型は1隻のみ建造された巡視船で、このつがる型から本格的な導入が始まっています。そうや型の設計をベースとしていますが、そうや型が持つ砕氷能力はありません。
また水線長は10m長くなり、船幅は1m狭くなりました。これによりそうや型よりも高速での航行が可能となっており、最大速力はそうや型の21ktに対して23ktとなっています。
主機関は7800psの4サイクルV型12気筒ディーゼルエンジンを2基搭載しており、7番船以降は8000psに強化されています。またスクリュープロペラのブレードの面積が小さく、枚数が多いスキュードタイプに変更されていますね。
このつがる型巡視船は各海上保安本部の中核となる巡視船で、作戦指揮室が設けられています。これはOICと呼ばれ、9隻の建造途中で改良され機能の集約化が図られました。
この「せっつ」では機関操縦機能が機関操縦室から操舵室に移されており、航空管制室がOICに統合されました。その後登場したつがる型では操舵室・OICの統合や通信室とOICの統合が行われています。
ヘリコプターを搭載するための設備としては上部構造物後部にヘリコプター格納庫を備えており、船尾甲板が飛行甲板とされています。搭載するのはシコルスキー製S-76Dで搭載数は1機。
当初はベル212が搭載されていましたが、2014年から後継としてS-76Dが導入され、現在はすべて置き換えられています。また航空機運用に際して船体の揺れを抑えるために減揺タンクとフィンスタビライザーが装備されました。
その他搭載艇として右舷側に作業艇、左舷側に高速警備救難艇を搭載しています。5番船以降は右舷側にもう1隻高速警備救難艇が搭載されるようになっていますね。
武装としてはボフォース製の60口径40mm単装機銃とエリコン製20mm単装機銃を搭載していましたが、2番船からボフォースのみとなり、3番船からはエリコン製35mm単装機銃のみが搭載されました。
1・2番船も後にエリコン製35mm単装機銃に換装され、4番船からはJM61-M 20mm多銃身機銃が追加されています。8番船以降はJM61-Mが遠隔操作可能なJM61-RFSに改良されました。
写真のPLH07「せっつ」は1983年4月5日に起工し、1984年4月21日に進水、同年9月27日に就役しています。建造は住友重機械工業浦賀造船所で行われ、就役後は第5管区海上保安本部に配置されています。
阪神淡路大震災の際には5管本部の通信機能が壊滅したため、入渠中にも関わらず司令機能を代行したことがある巡視船ですね。
・・・以上、ソロコレクションいいね。鉄道員日記がお送りしました。