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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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陸上自衛隊 NBC偵察車@アジア太平洋トレードセンター

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アジア太平洋トレードセンターにて

今年3月15日にアジア太平洋トレードセンターで行われたOSAKA防衛・防災フェスタ。そこで撮影した陸上自衛隊の装備品を撮影順に掲載しています。

施設科装備からFH-70に移り、その後にやってきたのが装甲車両が展示されていたエリアでした。そこで最初に撮影したのが写真のNBC偵察車。

NBC偵察車は陸上自衛隊が保有する国産のNBC偵察車両で、NC(核・化学)兵器に対応した化学防護車と、B(生物)兵器に対応した生物偵察車の後継として開発されました。

陸上自衛隊では1985年から82式指揮通信車をベースとした化学防護車を調達し、地下鉄サリン事件などに出動を行ってきましたが、生物兵器に対応する車両はありませんでした。

2001年の米同時多発テロで発生した炭疽菌事件で自衛隊も生物兵器への対応を迫られ、2005年から生物偵察車の配備が始まりました。これは3 1/2t大型トラックの荷台に生物剤の検知を行うシェルターを搭載した応急的な装備でした。

それらの機能を一本化した車両として開発されたのがNBC偵察車で、2005年に開発が開始、2009年に完了しています。2010年度予算から調達が開始しており、現在18両が調達されています。最終的に50両程度が調達される予定。

なお軽装甲機動車などと同じく制式化ではなく部隊使用承認の形で採用されています。

車体は前任の車両が既存の車両の改造で開発されていたのに対し、NBC偵察車は新たに開発が行われています。これにより十分な車内スペースを確保する事が可能となりました。

NBC兵器に対するセンサーとしては化学剤検知装置、化学剤監視装置、生物体検知装置、大気安定度測定装置、気象観測装置、中性子線測定装置などが搭載されています。

またこれらの観測データはデータリンクで味方部隊との情報共有が可能で、より円滑な部隊運用が可能となっています。多様な装置を搭載したことにより冷却用のクーラーも搭載されています。

エンジンは車体中央部の右側に搭載されている物と思われ、水冷4サイクルターボチャージャー付ディーゼルエンジンが採用されています。

武装は車体上面の車両用ハッチに12.7mm重機関銃M2用の銃架が取り付けられており、車内からの遠隔操作が可能となっています。

除染の流れとしてはまず汚染を受けたエリアをNBC防護車が特定し、そのエリアを除染車3形などが除染を行い、最後に車両や隊員などの除染を行います。

写真のNBC偵察車は兵庫県伊丹駐屯地の第3特殊武器防護隊に配備されている物で、以前にも海上自衛隊舞基地で撮影したことがあります。

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後方から撮影したNBC偵察車。ご覧のように車体右側はすっきりとしています。車体後部や上面に様々なセンサーが取り付けられているのが見えますね。

前2軸がステアリングを行い、これによって6輪の化学防護車と同程度の旋回半径を実現しています。核タイヤの前方には洗浄用のノズルがありますね。

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車体後部のボックス。このボックスは下部が開くようになっており、内部には化学グローブやサンプル採取器具が収納されています。

化学防護車ではマニピュレータによりサンプル採取を行っていましたが、細かな作業が苦手で時間が掛かり、故障した場合はサンプル採取が行えなくなるという欠点がありました。

NBC偵察車では人力でサンプル採取を行うことにより根本的な解結が行われました。乗員が車内から化学グローブに手を通して採土器やアーム、化学剤センサでサンプルを採取します。

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車体後部左側に取り付けられたサンプル回収管。中央の屈折しているパイプがそれで、採土器やアームからサンプル容器に入ったサンプルをこのパイプから回収します。

回収時にはこのパイプが横に倒れ、化学グローブでサンプル容器を中に入れ、パイプを元の位置に戻すと容器が下に落ちて収容される仕組みとなっています。

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サンプル回収管の手前に取り付けられた大気安定度測定装置。カバーが掛けられている部分は温度計で、短い方は人の頭の高さの気温を、長い方は地面近くの気温を測定します。

この両者の温度差から周囲の空気がどれぐらい対流しているのかを計測します。対流が激しい場合は化学剤や生物剤は拡散しており、少ない場合は周囲を高濃度で漂っている事となります。

大気安定度測定装置とサンプル回収管の奥には洗浄用水のタンクが搭載されており、車内の器具やタイヤなどの洗浄に使用されます。

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車体前方左側に搭載されたAP2C-V 化学剤検知器。フランスのプロアンジャン社製で携行式の化学剤検知器であるAP2Cの車載版です。AP2Cは自衛隊や警察にも採用されていますね。

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車体上部の生物兵器検知用の大気収集管。手前側の大気中の微粒子を収集し、奥側の大気のサンプルを集めて車内で分析が行われます。

この反対側には化学剤監視装置が搭載されますが、撮影時は搭載されていませんでした。

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車体後面ハッチの大気サンプル採集用窓。ここからチューブにサンプルが回収されます。

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操縦席左側のハッチ。NBC偵察車のハッチは操縦席の両側と上面、車体後面に設置されています。

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側面窓。窓の防護板は回転して開閉する構造となっていますね。

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車体正面の車長用キューポラと銃架。ここに放射線測定器を搭載する事も可能です。

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サイレンと赤色回転灯。化学防護車にも取り付けられていた物ですね。

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右側ヘッドライト周辺。BOライトやBOマーカーランプも取り付けられています。

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銘板。2014年1月製。

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説明書き。


・・・以上、重いんだなぁ。鉄道員日記がお送りしました。

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