舞鶴西港にて
7月26日に舞鶴西港で撮影した海上保安庁のつがる型ヘリコプター搭載巡視船9番船「だいせん」。自分は舞鶴西港から海上自衛隊の舞鶴地方隊展示訓練の為護衛艦「しらね」に乗艦していました。
つがる型ヘリコプター搭載巡視船は巡視船「そうや」に続く海上保安庁のヘリコプター搭載巡視船で、海上保安庁初の本格的なヘリコプター搭載巡視船です。
ヘリコプター搭載巡視船はPLHと略され、これはPatrol vessel Large with Helicopterの略。現在海上保安庁ではしきしま型、みずほ型、そうや、つがる型の4タイプのPLHを配備しています。
つがる型は1977年に日本の排他的経済水域が沿岸から200海里に拡張され、それによって従来よりも大幅に海上保安庁のカバーする海域が増加しました。
増加した範囲を従来の巡視船や陸上機でカバーするには航続力などが不足していました。そこでヘリコプターを搭載し広い海域で迅速に対処でき、他の巡視船艇を指揮できる巡視船を建造することになりました。
そうして建造されたのがつがる型で、巡視船「そうや」の設計を基に建造された為「そうや」とは外見が似ています。ただし「そうや」の持つ砕氷能力はありません。
同型船は9隻が建造されており、1番船の「つがる」が1979年就役なのに対して9番船「だいせん」は2001年の就役と長きにわたって建造が続いたため、各船ごとに形態の差異があります。
特に7番船「えちご」と8番船「りゅうきゅう」の就役には10年の開きがあるので、8番船では設計が大幅に変更され事実上の新型となっています。
9番船以降の船体は全長105m、全幅15m、吃水5m、深さ8mとなっており、全長全幅はそれぞれ+40センチ、吃水は-16センチ増減しています。また船尾形状がクルーザースターンに変更されていますね。
7番船「えちご」で軽量化や機関出力の増加、船橋の効率化などの改良が行われており、8番船で本格的な改設計が行われたという流れ。
機関は9番船以降の場合SEMTピルスティク社製12PC2-6V-400型ディーゼルエンジンが採用されており、2基で16000馬力の出力を発揮します。推進器も2軸。最大速力は23ノット。
武装に関しては1~3番船と4~7番船、8・9番船で異なっており、1~3番船ではボフォースL/60 40mm機関砲1門とエリコンSS 20mm機関砲1門でした。
4~7番船ではエリコンKDC 35mm機関砲1門とJM-61M 20mm多銃身機関砲1門(人力操砲)の組みあわせとなり、8・9番船ではエリコンKDC 35mm機関砲1門とJM61-RFS 20mm多銃身機関砲1門(遠隔操作)となっています。
PLH-10 巡視船「だいせん」は2001年10月1日に就役し、第8管区海上保安本部に配備されました。当初は境海上保安部に配備されていましたが、2008年3月30日に舞鶴海上保安部に転属しています。
搭載ヘリコプターとしてはベル212 JA9617 MH617「こはくちょう」を1機搭載しています。
正面から撮影した「だいせん」。
真横から撮影した「だいせん」。
後方から撮影した「だいせん」。船尾にはヘリコプター発着甲板がありますね。
真後ろから撮影した「だいせん」。船尾形状がトランサムスターンからクルーザースターンに変更されており、漂泊時の波浪衝撃が緩和されています。
「だいせん」船首。8番船以降ではバルバス・バウが採用され造波抵抗の軽減が図られています。
船橋。船橋は操船、機関監視、航空管制、OIC(作戦指揮)、武器管制、通信区画を含めた総合型とされています。
また7番船までは船橋の後方にアンチローリングタンクを装備していましたが、8番船以降では船体内に収められたため船橋からの後方視界が向上しています。
マスト。各種通信に使用するアンテナや捜索・監視・取締用のレーダーが設置されています。
煙突と搭載艇。搭載艇は救命艇2隻と警救艇2隻、複合艇2隻を搭載しており、警救艇と複合艇は荒天時の揚降に優れたミランダ式ダビットに搭載されています。
写真に写っているのは救命艇と7メートル型警救艇。
船尾のヘリコプター甲板。8番船以降はAS332の発着船にも対応できる強度が確保されています。
船首の近くに設置されたエリコンKDC 35mm機関砲。単装で1門が設置されています。
船橋の前方に設置されたJM61-RFS 20mm多銃身機関砲。アメリカが開発したM61機関砲の国産艦載バージョンがJM61-Mで、JM61-RFSは遠隔操作と目標自動追尾などの機能が備わったタイプ。
「だいせん」の搭載艇。
PLH10の船番号と「だいせん」の船名表記。海上保安庁の船艇は配備先にちなんだ船名が付けられ、手族の際には改名が行われますが、「だいせん」の場合は同管区内での転属だったため改名は行われていません。
朝、ヘリコプター甲板で朝礼を行っていた「だいせん」乗員。この日は海上保安庁も展示訓練を行っており、「だいせん」も一般人を乗せていました。
展示訓練を終えて舞鶴西港に戻ってきた「だいせん」。
・・・以上、ギリギリ間に合わなかった・・・鉄道員日記がお送りしました。