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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 MSC-683 すがしま型掃海艇三番艇「つのしま」由良港

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由良港・掃海艇なおしま船上にて

10月22日に海上自衛隊由良基地で艦艇広報を行った海上自衛隊のすがしま型掃海艇3番艇 MSC-683「つのしま」。前回共に艦艇広報を行った「なおしま」を掲載しましたね。

2隻の掃海艇が由良基地にやってきており、「なおしま」が岸壁側、「つのしま」が海側にメザシで係留されていました。一般向け公開を行ったのは「なおしま」のみ。

この「つのしま」は招待者向けの公開を行ったようですね。「なおしま」は岸壁の先まで行けなかったため全体を撮影できず、「つのしま」は内部を撮影できないという・・・

すがしま型掃海艇は海上自衛隊が1991年のペルシャ湾派遣の教訓を得て開発した掃海艇で、1995年度計画から2003年度計画までの間に12隻が建造されました。

ペルシャ湾派遣では諸外国の省力化・自動化された掃海装備を目の当たりにし、またステルス機雷に遭遇した経験などから掃海装備の刷新が必要と判断され、様々な新装備が搭載されました。

イギリス海軍の運用しているサンダウン級機雷掃討艇をモデルとしており、サンダウン級の搭載しているNAUTIS-M情報処理装置、2093型ソナー、PAP-104機雷処分具をすがしま型でも導入しています。

NAUTIS-Mはサンダウン級用に開発された物で、イギリスのGECマルコーニ社が製造しています。レーダーやソナーから情報を得て航海情報管理、対機雷戦計画・評価支援機能を備えています。

2093型ソナーは可変深度式であり、上部構造物前方の甲板室内に納められています。ウインチにより水深300mまで吊り下げることが可能。使用周波数は機雷探知用として80kHz、類別用として350kHzの2種類。

PAP-104はフランスのECA社が開発した西側の標準的な機雷処分具で、これ以前に海上自衛隊では国産の機雷処分具を導入していましたが、すがしま型では初の海外機導入となりました。

すがしま型は機雷掃討をメインとする掃海艇のため機雷処分具の運用が中心となっていますが、係維掃海具及び感応掃海具の運用も可能となっています。

係維掃海具としては53式普通掃海具改6が搭載されています。この掃海具は展開器により左右に展開され、ワイヤーに取り付けたカッターが係維式機雷の係維索を切断するという掃海具。

感応式掃海具はオーストラリア製のDYADが運用可能で、これは永久磁石式の磁気掃海具と水流で音を出す音響発生装置による音響掃海具で構成されるものです。それぞれ磁気・音響感応機雷を作動させ処分します。DYADは常時搭載されておらず、必要に応じて掃海母艦などから受け取って運用されます。

すがしま型の船体は機雷掃討重視となったため従来ほど船尾甲板の広さが必要でなくなったため船首楼が長い形となっています。船体に使用している木材はケヤキ・タモ・ベイマツ。

推進機関としてはディーゼルエンジンと電動機を使用しています。ディーゼルエンジンは三菱製6NMU-TA(B)Iで出力は900馬力。2基が搭載され最大14ノットを発揮できます。

電動機は170馬力の物が2基搭載されており、これは機雷掃討時には長時間低速で航行する必要があること、放射雑音の低減が求められた事による採用です。

掃海具を曳航する機雷掃海時は航路保持が求められ、機雷処分具を遠隔操縦する機雷掃討時は定位保持が求められることからGPSと連動した自動船位保持装置も導入されました。

スクリュープロペラは可変ピッチ式で、バウスラスターも装備され、舵もシリング式となっているので運動性はかなり高いようですね。自動操艦装置も装備されています。

写真のMSC-683「つのしま」は1997年8月7日に起工、1998年10月22日に進水、2000年3月13日に就役しています。当初は掃海隊群第3掃海隊の所属でしたが、その後横須賀地方隊第41掃海隊に転籍、2014年からは呉地方隊阪神基地隊の第42掃海隊に所属しています。

今回の2隻は2015年のOSAKA防衛・防災フェスティバルでも撮影したことがあります。その際は人が多すぎて見学するのを諦めましたが、今回は至ってのどかな雰囲気でした。

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後方から撮影した「つのしま」。

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真後ろから。

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船首。

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船尾。

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PAP-104機雷処分具。西側諸国の海軍に広く採用され400機以上が生産されている機雷処分具で、最初のタイプは1968年に開発が始まりました。

海上自衛隊が運用しているのは1986年に開発されたMk5で、重量は800kg、全長2.7m、全幅1.2m、全港1.3m、行動距離は600m、最大速度は6ノットというスペックです。

海上自衛隊が従来運用してきた国産機は外部給電方式で電源ケーブルが接続されており、水中機動性が低かったのに対し、こちらはバッテリー式で運用可能時間は短い物の機動性に優れています。

前部に機雷類別用ソナーとカメラを備えており、母艦との通信は光ファイバーケーブルにより行われます。発見した機雷を処理するため100kgの爆雷1個と係維索カッター2基を搭載可能。

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船首のJM61-M 20mm機関砲。6砲身のガトリング式機関砲で、航空機搭載用のM61を艦載用として発射速度を毎分450~500発とした機関砲です。海上保安庁の巡視船などにも搭載されていますね。

海自掃海艇の標準的な武装であり、自衛用・機雷処分用として使用されます。係維索を切られて海面に浮上した係維式機雷は爆薬を取り付けて爆破するか、これで射撃して処分するようですね。

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船尾甲板に搭載された沈降器と展開器。掃海具のワイヤーに取り付けて、水流により掃海具を左右数百mに展開、沈降器により一定深度に沈めます。

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2隻並んだ掃海艇。こうして見ると普段から配備されていそうな雰囲気ですね。


・・・以上、書き慣れたもんだ。鉄道員日記がお送りしました。

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