和歌山港・護衛艦あけぼの艦上にて
昨年7月19日に和歌山港で行われた海上自衛隊のむらさめ型護衛艦8番艦「あけぼの」の艦艇広報。その際に撮影した各種装備品を撮影順に掲載しています。
前回まではレーダー関係の装備を掲載していましたが、今回は武装。高性能20mm機関砲です。こちらはかなりメジャーな装備品と言うことが出来ますね。
高性能20mm機関砲はアメリカのレイセオン社が開発した近接防空火器であるMk15 ファランクスの海上自衛隊での名称で、現在就役している全ての護衛艦とおおすみ型輸送艦に搭載されています。
近接防空火器とは艦艇が経空脅威に対する自衛手段として搭載している武装のことであり、ECMによる妨害やミサイル・艦砲による迎撃をかいくぐってきた対艦ミサイルや航空機を撃破する最終手段として搭載されています。
Close In Weapon Systemの頭文字を取ってCIWSとも呼ばれますね。このファランクスの他にはロシアのAK-630やオランダのゴールキーパーなどが存在します。
Mk15 ファランクスは航空機用のM61バルカン20mm機関砲に捜索・追尾用レーダーシステムと俯仰旋回可能な架台を組み合わせたシステムであり、艦の戦闘システムとは独立しています。
完全自動のシステムであるため、スイッチを入れておくと射程内に入った対空目標を全自動で攻撃します。発展型では光学照準や遠隔操作による対水上射撃も可能となりました。
研究開発は1969年に開始し、1980年から配備が始まっています。現在までに最初のモデルであるBlock0からBlock1、1A、1Bが開発されており、Block1では弾倉大型化・発射速度向上・俯角可動範囲拡大といった改良が行われました。
1Aではコンピューターシステムが更新され、1Bでは砲身の延長やレーダーの換装、光学照準器の追加、府仰角範囲の拡大が行われています。
海上自衛隊では1981年就役のしらね型護衛艦2番艦「くらま」から搭載しています。採用に当たってはイタリアのダルドシステムとファランクスが比較検討されました。
使用弾薬は当時アメリカ軍が劣化ウラン弾を使用していたものの日本では導入できず、タングステン弾を独自に開発しています。開発までは空自のF-4EJに使用されていた20mm榴弾が使用されていました。
むらさめ型護衛艦ではBlock1が搭載されている物と思われます。
20mm機関砲の砲身部。ファランクスのBlock1は発射速度が毎分3000発から4500発に向上し、弾倉容量が989発から1550発に増加しています。
砲身のブレを低減するために写真の様な支えが取り付けられているものと、何も取り付けられていないもの、より頑丈な支えが取り付けられているものがあります。
前方のファランクス。機関砲の上の白い部分にレーダーが納められています。上部の半球部分に捜索用レーダー、下部の円筒部分に追尾用レーダー。使用周波数帯はどちらもKuバンド。
レーダーは目標の捜索・追尾だけでなく、自らが発射した弾薬を追尾し、弾道を修正するのにも使用されます。機関砲の下にある円筒が弾倉。
後方のファランクス。かなり高い位置にあります。Block1では最大俯角が-10度から-20度となり、射撃可能範囲が拡大しました。
むらさめ型では艦橋前方中央に前部CIWSが、ヘリ格納庫上の右舷側に後部CIWSが搭載されています。
後部CIWSの背面。架台の下にあるのは電源関連のユニット。
最後に説明書き。
・・・以上、実はこれの動いているところを実際に見たことがないef_end_63がお送りしました。