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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 SH-60K@舞航空基地 ①

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舞航空基地・若狭湾にて

昨年7月26日の舞地方隊展示訓練と27日の舞航空基地サマーフェスタで撮影した、海上自衛隊のSH-60Kの写真を掲載します。

非常に多くの写真を撮影したので、2回に分けてお送りします。今回は機体の紹介や細部の写真、次回はSH-60Kの活動の様子などを掲載したいと思います。

SH-60Kは海上自衛隊が現在導入している哨戒ヘリコプターで、1991年から配備したSH-60Jの後継として三菱重工と防衛庁で独自に改造開発が行われました。

SH-60Jは原型のSH-60に近い機体で、捜索用電子機器などを大量に搭載したため機内空間が狭く、武装も短魚雷2本のみであるなど汎用性に欠ける面がありました。

そこで、通常の対潜哨戒任務のみならず、不審船事案や大規模災害などにも対処可能な哨戒ヘリとして日本独自の改造開発が1996年度から始まりました。

SH-60Kに求められたのは、主に対潜・対水上戦能力向上、人員物資輸送・警戒監視など多様性の向上、安全性の向上で、要求を実現するため機体形状やローターにまで手が加えられて居ます。

機体形状はSH-60Jよりも拡大され、従来最大搭載乗員数が8名だったのに対してSH-60Kでは12名となっています。また機首はESMアンテナやFLIRの装備によって長く尖った形状となりました。

操縦室は完全にグラスコクピット化されており、飛行情報統合表示装置や戦術情報処理表示装置が搭載されています。エンジンは出力の向上したT700-IHI-401C2に変更されています。

SH-60Kの大きな特徴の一つとしてメインローターのブレード形状が変更されたことがあります。先端の曲がった特殊な形状をしており、効率向上が図られホバリング可能重量などが増加しています。

ソナーシステムとしてはSH-60Jと同じくディッピングソナーを装備していますが、新たに低周波を使用するアクティブソナーであるHQS-104に変更されています。

またソノブイを発射する事も可能で、SH-60Jではソノブイからの情報を搭載艦に中継して艦上で解析を行っていたため、データリンクが途切れた際など連続した目標探知を行えなくなる可能性がありましたが、SH-60Kでは機上解析能力が追加され、データリンクが途絶えたとしても自機のみで追尾が可能となりました。

レーダーは従来通り操縦室の下部に搭載されており、J/HPS-105B 逆合成開口レーダーが装備され、より高い分解能で哨戒能力の向上が図られています。

機首には赤外線探知装置(FLIR)が搭載されており、初めて標準装備されました。SH-60Jでも一部の機体は搭載しています。このFLIRにより警戒監視能力が向上しています。

またSH-60Kは着艦誘導支援装置を搭載しており、このシステムは搭載艦に自動で着艦進入できる世界で初めて実用化されたシステムです。これにより夜間や視界不良時における操縦士の負担を大幅に減らすことが可能となりました。

武装は従来の短魚雷に加えてAGM-114M ヘルファイア饗仞鐚屮潺汽ぅ襪搭載可能となりました。対戦車ミサイルなので大型艦艇などに対しては威力が足りませんが、不審船など小型船艇に対しては有効な威力を発揮します。

また対潜爆弾の搭載も可能で、浅海域での攻撃や威嚇・警告を行うことができる様になりました。SH-60Jでは一部機器を取り外す必要があった機関銃はそのまま取り付けられる様になり、搭載機関銃には74式車載7.62mm機関銃が使用されます。

調達は現在も続いており、現在までに55機が調達されています。最終的には70機程度が調達される予定。現在海上自衛隊が保有しているSH-60Kの機数は42機とされています。

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真横から撮影したSH-60K。

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正面から撮影したSH-60K。

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後方から撮影したSH-60K。従来通り垂直尾翼とスタビレーター、メインローターの折りたたみ機構を備えています。

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機首周辺。機首はESMアンテナやミサイル警報装置、FLIRが搭載され、SH-60Jよりも延長されて鋭くなっているためスマートな印象を受けますね。

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真横から撮影した機首周辺。操縦席ドアの後方には着艦誘導支援装置のリフレクターと追尾用マーカーが設置されています。

着艦誘導支援装置ではアプローチにGPSを使用し、機体及び搭載艦の速度から算出した飛行コースに沿って自動飛行が行われます。

搭載艦への飛行甲板への進入はより高い精度が求められるため、搭載艦に設置された着艦誘導センサーにより機体のリフレクター・追尾用マーカーを赤外線カメラで追尾し、着艦誘導センサーからレーザーをリフレクターに照射して相対距離が計測されます。

計測された情報は機上に送信され、相対位置データの計算に使用されます。次に飛行甲板上でのホバリングに移り、その際には相対位置データから着艦用艦姿勢センサーで計測した搭載艦の動揺を差し引き、艦の動揺に影響されない自動ホバリングを実現しています。

その後艦の上部構造物による乱流などに対して安定性増大装置などを使用する事によりホバリング精度を確保しつつ、自動着艦が行われます。

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SK-60Kのコクピット。コクピットは飛行情報統合表示装置用ディスプレイ5基と戦術情報処理表示装置用多目的ディスプレイ1基で構成されたグラスコクピットです。

飛行情報統合表示装置には飛行情報と航法情報、エンジン関連情報などが表示されます。戦術情報処理表示装置には戦術情報や地図、レーダーやFLIRの画像、逆合成開口レーダーの解析画像などが表示されます。

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センサーマン席。センサーマンはその名の通りソナーやレーダー、ESMなどのセンサーを操作する要員のことで、SH-60Jでは1名でしたがSH-60Kでは任務の多様化に対応して2名となっています。

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バブルウィンドウ。センサーマン席の窓はバブルウィンドウとなっており、外部の様子を確認しやすくなっています。

SH-60Jのバブルウィンドウは窓にガラスの球体を取り付けた様な形でしたが、SH-60Kではガラス全体が膨らんだ形となっており、より目視での監視等がしやすくなりました。

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コクピットのドア。SH-60Kのコクピット周辺は防弾が施されているようですが、このドアにも防弾板が取り付けられているのでしょうかね。

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側面のキャビンドア。キャビンドアは機体の右側にのみ有り、SH-60Jよりも機体が大型化したためドアも1枚から2枚となっています。

またドアの大型化に伴って右舷側のパイロンと磁気探知機用パイロンは後方に移設されています。

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機体後部。垂直尾翼は付け根付近から折りたたむことが出来ます。

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ローターブレードの先端。上記の通りローターブレードは先端が特殊な形状をしており、10度の上半角、20度の下半角、50度の下半角が付けられています。また40度の後退角も付けられています。

このローターブレードによってSH-60Kは、SH-60Jからローター直径を大きくすることなくホバリング可能重量を約9.9tから約10.9tまで引き上げることに成功しました。

ローターには複合材料が多用され、ケブラー繊維やアラミド繊維、高強度炭素繊維、高強度ガラス繊維などが使用されています。翼端部の一部には高強度アルミコアを使用。

一方で特殊な形状を採用した事によって空気抵抗が増大しており、最大速力はSH-60Jよりも低下しています。

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ローターハブ。メインローターは自動での折りたたみが可能。

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左舷側ウエポンパイロン。左舷側のパイロンは大型化されており、場所もやや前方に移されています。このパイロンにはM299ランチャーを介してAGM-114M ヘルファイア饗仞鐚屮潺汽ぅ襪鯏觝棆椎宗

AGM-114Mはセミアクティブレーダー誘導で、弾頭は爆風破片効果弾頭に変更されたタイプ。射程は0.5~9km、弾頭重量は12.52kgとされています。

50t程度の小型艇であれば1発で撃沈でき、軽装甲車両や建物など地上目標にも使用する事が出来ます。セミアクティブレーダー誘導であるため正確に目標を攻撃でき、対悪天候性や妨害排除機能も優れています。

M299ランチャーには最大4発を搭載可能ですが、SH-60Kでは地上との距離の関係から2発形態で搭載されます。

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右舷側パイロン。こちらには短魚雷や対潜爆弾等を搭載可能。SH-60JではMk46短魚雷しか使用できませんでしたが、SH-60Kでは97式短魚雷も使用可能となりました。

97式短魚雷は高速・深深度潜航を行う潜水艦を攻撃することができます。

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エンジン。エンジンはT700-IHI-401C2ターボシャフトエンジンが2基搭載され、SH-60JのT700-IHI-401Cから出力が増大(1800shp→2145shp)しています。

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ホイスト。SH-60Jと同様にホイストを標準装備しているため、救難任務にも対応しています。SH-60Jよりも大型化したため収容可能人数も増えています。

救難任務の際にはセンサーマンが降下救助員となりますね。

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ホイストとエンジン吸気口。

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機首の電波探知装置(ESM)アンテナとミサイル警報装置。中央と右の黒いアンテナがESMアンテナで、左にあるのがミサイル警報装置。

ESMアンテナにはトキメック製のHLR-108Cが使用され、ミサイル警報装置にはEADS製AN/AAR-60が搭載されています。

AN/AAR-60は光学パッシブ式のミサイル警報装置で、高い確度精度、早期探知、低誤報率、チャフ・フレア発射機との連動といった特徴を持っています。

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機首右側のESMアンテナとミサイル警報装置。

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後部右側のESMアンテナ。ESMアンテナ、ミサイル警報装置共に4面をカバーする様に設置されています。

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機体尾部のミサイル警報装置。

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機首のデータリンク用アンテナ。

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FLIR。FLIRはアメリカのレイセオン社が開発し富士通でライセンス生産されているAN/AAS-44-N1が使用され、機首に標準装備されています。

このFLIRは通常の捜索・監視の他、AGM-114Mの誘導を行う為レーザー・デジグネーター機能を保有しています。また自動追尾機能も持っていますね。

FLIRによって発見された目標は戦術情報処理表示装置を介してコクピットのディスプレイに表示され、ミサイル管制装置で射撃計算が行われます。

発射と共にデジグネーターからレーザーパルスが目標に照射され、ミサイルはその反射をシーカーで捉えて目標まで誘導されます。各ミサイルごとにレーザーパルスは異なっており、1つのデジグネーターで複数のミサイルを誘導することが可能。

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操縦席下のJ/HPS-105B逆合成開口レーダー。SH-60Kは通常のレーダーに加えて逆合成開口レーダーを装備しています。

逆合成開口レーダーは艦船の同様によるドップラーシグネチャーを積み上げて映像化する事が可能で、潜望鏡の発見、長距離対艦ミサイル使用時の目標識別などに使用されます。

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磁気探知機。磁気探知機にはAN/ASQ-81D(V)-4が使用されており、潜水艦によって起きる地磁気の乱れを探知して潜航中の潜水艦を発見するための物。

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AN/ALE-47チャフ・フレア発射機とフライトデータレコーダー。機体左側に設置されており、上を向いているのがチャフ発射機、下を向いているのがフレアの発射機。丸いのがフライトデータレコーダー。

チャフ発射機はローターのダウンウォッシュによるチャフ拡散を意図して上向きに取り付けられています。フレア発射機は機体右側にも設置されていますね。

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主脚。

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尾輪。

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搭載機器冷却用空気の排気口。SH-60Jでは1基でしたが、SH-60Kでは2基となりました。

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機体下部のアンテナと航法灯。

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最後に説明書き。

写真のSH-60K 8412号機、8419号機、8423号機、8425号機は何れも舞航空基地の第23航空隊第231飛行隊に所属する機体です。


・・・以上、夢の~列車が~♪ぽっぽやがお送りしました。

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