横浜港・潜水艦救難艦ちはや艦上にて
さて、前回から2015年10月17日に見学した海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちはや」の装備品を掲載しています。この時は観艦式の開催に合わせた艦艇広報が横浜港で行われていました。
今回掲載するのは深海救難艇。潜水艦救難艦の最も重要な装備の一つと言えますね。ちはやは2014年8月に和歌山港で見学しており、その際にもこの深海救難艇を撮影しています。
前回は台風の接近もあって見学者が少なくのんびり見て回れたのですが、今回は多かったためあまりゆっくりと回れず写真も撮影数が少ないですね。まあそもそも人口が違いますし仕方のないことです。
深海救難艇は事故などで自力での浮上が不可能となった潜水艦の乗員を救助するための潜水艇であり、海上自衛隊では潜水艦救難母艦「ちよだ」と潜水艦救難艦「ちはや」に1隻ずつ搭載しています。
写真の深海救難艇はチタン合金のフレームにFRPの外板で構成されており、内部は3つの鋼鉄製耐圧球を並べた構造となっています。耐圧球は前方から操縦室、救難室、機械室となっていますね。
救難室の下部にスカートがあり、そのスカートが潜水艦のハッチと密着して潜水艦乗員を救助します。乗員は2名で運用され、救難室には12名の潜水艦乗員を収容することが可能。
動力源は蓄電池であり、艇体の上部に搭載されています。通常の潜水艇は重心を下げるために蓄電池を下部に搭載しますが、深海救難艇では傾いた潜水艦にも対応する必要があり、角度を調整しやすいように上部に搭載しています。
またセンサーとしては自機・遭難した潜水艦の位置の把握の為のソナーやカメラが備えられています。水中作業用にマニピュレータをスカートの前方に取り付けることも可能。
海上自衛隊で運用している2隻の深海救難艇はほぼ同型ですが、母艦の収容方向が異なるためちはやの深海救難艇をちよだで運用するといった母艦の入換は不可能となっています。
写真の深海救難艇には「ちはや」という艦名と同じ名称が付けられており、全長12.4m、全幅3.2mというサイズで、排水量は約40t、水中速力4ktというスペックです。
「ちはや」は「ちよだ」と同様に船体中央部にセンターウェルを備えており、そこから深海救難艇を発着させます。写真は揚収装置に深海救難艇が収まり、センターウェル上部に固定されていますね。
センターウェルを使用不可能な場合は母艦側面からの発着も可能だそうです。深海救難艇は、非使用時は艦橋構造物内部の深海救難艇格納庫に収められていますね。
円形の舵であるシュラウドリングと大きなスクリュープロペラ。間近で見るとその大きさに圧倒されます。
船体後部。側面と下面に穴が開いていますが、これは水中で微妙な姿勢の調整を行うサイドスラスターで、艇体の前後に上下方向と左右方向に2基ずつ備えられています。
・・・以上、新ちよだの深海救難艇はどうなるだろうか。鉄道員日記がお送りしました。