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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 SH-60J 8288号機@舞鶴航空基地

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舞鶴航空基地にて

昨年7月27日に海上自衛隊舞鶴航空基地で行われたサマーフェスタ。そこで撮影した色々な海上自衛隊の装備品を撮影しています。

今回は哨戒ヘリコプター SH-60J 8288号機。SH-60Kはサマーフェスタ中とその前日の展示訓練で何度も撮影していますが、SH-60Jはこの1機のみの撮影でした。

SH-60Jは海上自衛隊がHSS-2Bの後継として導入した哨戒ヘリコプターで、米海軍がUH-60を基に開発した艦載ヘリ、SH-60Bに日本独自の運用構想を盛り込んだ機体です。

1985年に防衛庁は研究用としてSH-60Bを1機購入し、開発元のシコルスキーに試作機2機を発注しました。その後1987年8月31日に試作機のXSH-60Jが初飛行しています。

SH-60Jの搭載電子機器は日米貿易摩擦の影響を受け、一部がブラックボックスで輸入された他は殆どが防衛庁技術研究本部が国産開発を行っています。

システムの中核を担う戦術情報処理装置はHAS-118 新対潜システムが導入され、大幅な能力向上が図られています。

新対潜システムにはデータリンク機能もあり、これによってSH-60Jのセンサーが得た情報を護衛艦などの水上艦が直接見ることが出来ます。つまり水上艦の索敵能力も向上させることが可能となります。

センサーとしてはHPS-104 対水上レーダー、AN/ASQ-81D磁気探知装置、HLR-108電波探知装置、HQS-103 ディッピングソナー、ソノブイ等を搭載しています。

ソナーシステムとしてはディッピングソナーとソノブイを両方搭載しており、米海軍のSH-60Bがソノブイのみを、SH-60Fがディッピングソナーのみを搭載する事と比べると対潜能力に特化していると言えますね。

ソノブイは広い範囲を捜索することが出来、ディピングソナーは狭い範囲を高い精度で捜索することが出来ます。これを併用することによって、ソノブイで潜水艦の居る大まかな範囲を割り出し、ディッピングソナーで更に細かな位置を割り出すという効率的な対潜捜索が行えます。

乗員は3名で、パイロット2名とセンサーマンと呼ばれる航空士1名で構成されます。センサーマンは搭載電子機器の操作員としてレーダー、ソナー、磁気探知機などを操作し、航空撮影任務ではカメラと画像伝送装置の操作員となり、救難任務ではホイスト操作、降下救助員の資格を有する者は機外で遭難者の救助にあたり、機関銃搭載時はその射撃員となります。

このようにセンサーマンは様々な任務が与えられているため、海上自衛官で最も多用な任務が与えられている職種とも言われていますね。

初号機と2号機は輸入されましたが、3号機以降は三菱重工業によりライセンス生産され、1991年から2005年にかけて103機が配備されました。

現在の所43機が運用されており、9機が事故で喪失、順次退役が進められています。後継としてSH-60Jを発展させたSH-60Kが開発されており、2005年以降はそちらの配備に切り替えられています。

1998年に調達された8271号機以降の32機(8284号機を除く)は陸上配備型として製造されており、艦載型の機体に装備の追加を行っています。

8271号機以降の32機は赤外線監視装置を追加され、8285号機以降の19機は不審船対策としてAN/AAR-60ミサイル警報装置、AN/ALE-47チャフ・フレア発射機を追加され、8294号機以降の10機はGPS航法装置と増槽の搭載能力を追加されています。

写真の8288号機は陸上配備型で、赤外線監視装置、ミサイル警報装置、チャフ・フレア発射機を搭載していますね。

8288号機は撮影当時は舞鶴航空基地の第23航空隊に配備されている唯一のSH-60Jだったようで、サマーフェスタ当日はアラート待機状態でエプロンに駐機されていたようです。

実はこの8288号機、2013年に徳島県の小松島航空基地で撮影したことがあり、その当時は小松島航空基地の第22航空隊に配備されていました。

SH-60Jスペックは、全長19.8m、胴体幅4.4m、全高5.4m、メインローター直径16.4m、エンジンはT700-IHI-401C ターボシャフト2基、超過禁止速度275km/h、実用上昇限度5790m、航続距離約584km、自重6.2t、最大離陸重量9.7t、最大搭乗人員数8名という物。

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左サイドから撮影した8288号機。

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正面から撮影した8288号機。

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機首周辺。

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機首下部周辺。機首下にある大きな膨らみは三菱電機製HPS-104 アクティブフェイズドアレイレーダーのレドームで、正面の「88」の番号の真下にあるのはデータリンク用のアンテナ。

その両脇にある黒いアンテナがトキメック製HLR-108 電波探知装置のアンテナです。このアンテナは前後左右の4カ所に設置され、敵艦の発する電波を探知し目標の識別・発信位置の特定を行います。

その隣に円い窓を持ったセンサーがありますが、それはEADS製AN/AAR-60ミサイル警報装置の受光部で陸上配備型の特徴ですね。こちらも全周をカバーする様4カ所設置され、ミサイルの放出する紫外線を探知して警報を発します。

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機体左側面。左側にはセンサーマンが外部を確認するためのバブルウインドウがあり、その後方にはソノブイランチャーがあります。写真ではカバーで覆われていますね。

ソノブイは最大25本を搭載する事が出来、ランチャーの下部にあるパイロンには短魚雷などを搭載する事が出来ます。写真はシーマーカーを投下するマーカー投下器が搭載されています。

また写真には殆ど写っていませんが、テールブームの左側面にはAN/ALE-47チャフ・フレア発射機とフライトデータレコーダーが搭載されています。

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機体右側面。キャビンのドアは右側面にのみあり、その上部には救難任務用としてホイストが設置されています。スライドドアの後方にはパイロンがあり、赤外線監視装置を搭載する場合はここに搭載されています。

使用される赤外線監視装置はAN/AAS-42-N2。なおスライドドアはパイロンと干渉しないよう一部二重構造となっています。

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テールブームの右側面。こちらにはAN/ASQ-81D磁気探知機の曳航体と巻き取り機が設置されていますね。磁気探知機は潜水艦が発生させる地磁気の乱れを探知する物で、使用する際には機体の金属や搭載電子機器からの干渉を避けるためワイヤーを伸ばして機体から離して使用します。

その後方の海上自衛隊表記の上にAN/ALE-47のフレア発射機のみが設置されています。

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テールローター周辺。狭い護衛艦の格納庫に収めるため、メインローターと尾翼は折りたたむことが出来、尾翼は機体左側に折りたたまれます。水平尾翼も上部に跳ね上げて折りたたまれます。


・・・以上、写真少ない割には時間が掛かった・・・ぽっぽやがお送りしました。

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