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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 PG-824 はやぶさ型ミサイル艇一番艇「はやぶさ」@舞鶴港

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舞鶴港・若狭湾にて

7月25・26日に行われた舞鶴地方隊展示訓練と27日に行われたサマーフェスタ。自分は26日の展示訓練とサマーフェスタに参加してきました。

今回はそこで撮影したPG-824 はやぶさ型ミサイル艇1番艇「はやぶさ」を掲載します。はやぶさ型ミサイル艇は前回も五番艇「うみたか」を掲載していますね。

はやぶさ型ミサイル艇はミサイル艇1号型に続く海上自衛隊第2世代のミサイル艇で、2002年から2004年までに6隻が就役しています。

海上自衛隊では冷戦末期に沿岸防衛の担い手として配備していた魚雷艇の後継として小型高速ミサイル艇の整備に着手しました。そこでイタリア海軍のスパルヴィエロ級をベースにしたミサイル艇1号型を18隻配備する計画を立て、日本海側に警備海域を持つ3地方隊に配備する予定でした。

しかしミサイル艇1号型は水中翼艇であり高速と低速しか出せなかった事や小型で日本海の荒波の中で運用するのは難しい事など問題点があり、3隻で建造は終了となりました。

またそれと同時に冷戦も終結したためミサイル艇の整備数も18隻から9隻へと減らされ、既に調達済みの3隻を除いて新型ミサイル艇は6隻が建造される事になりました。

そこで建造されたのが今回のはやぶさ型ミサイル艇です。当初は要求速力40ノット、双胴型船体の採用を予定していました。

しかし1999年に能登半島沖不審船事件が発生。不審船が高速を発揮して逃走し振り切られてしまった事を教訓に要求速力が44ノットに引き上げられ、設計も大幅に変更されました。

その結果船型は単胴でディープV型の滑走艇となり、また不審船事件への対応に赤外線暗視装置の搭載や防弾板の追加などが行われています。

船体はステルス製を重視した設計となっており、レーダー波を直接反射しないための傾斜が船体から手摺りに至るまで徹底してつけられています。

機関はガスタービンエンジン3基3軸で、高速を発揮するためにウォータージェット推進が採用されています。ウォータージェットポンプも3基。

ガスタービンエンジンはアメリカのゼネラル・エレクトリックが開発し、石川島播磨重工業がライセンス生産しているLM500-G07を採用しており、不審船事件を受けて2基から3基に増やされています。

LM500はミサイル艇1号型でも採用されていましたが、出力は400馬力向上して5400馬力となっています。また機関の始動速度が他の護衛艦に比べて早く、より即応性を高めています。

武装は前甲板に62口径76mm単装速射砲、後甲板に90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)を搭載しています。SSM-1Bは1つの架台に4発を搭載可能ですが、はやぶさ型では重量の関係から1つの架台に2発を搭載しています。また予算の関係か片方の架台から1発を取り外して3発を搭載した状態をよく見ますね。

はやぶさ型の搭載しているOPS-18-3対水上レーダーではSSM-1Bの射程を活かしきれないので、データリンクにより他の艦艇や航空機から情報を得て攻撃を行います。

そのため兵装システムの中心となるOYQ-8Bは従来のAN/UYK-20よりも飛躍的に性能の向上したAN/UYK-44コンピュータを使用しており、リンク11に対応しています。

小型であるため居住性はあまり良い物では無いようで、隊員のベッドは3段ベッドとなっており、調理室はある物の航海中の食事は弁当やレトルトなどになるようです。

また高速航行を行う特性上、艦内にある座席はドイツのレカロ社製の物が使用されており、高速航行時には全員が着席しシートベルトをするようになっています。

配備は当初舞鶴地方隊と佐世保地方隊に3隻ずつ行われましたが、2008年6月6日に大湊地方隊隷下の余市防備隊に配備されていたミサイル艇1号型「1号」「2号」が退役となったため舞鶴・佐世保の各1隻が配置換えとなりました。

現在は大湊・舞鶴・佐世保の3地方隊に2隻ずつが配備されています。

写真のはやぶさ型ミサイル艇1番艇「はやぶさ」は2000年11月9日に起工し、2001年6月13日に進水、2002年3月25日に就役しています。現在は舞鶴地方隊舞鶴警備隊隷下の第2ミサイル艇隊に配備されています。

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後方から撮影した「はやぶさ」。後甲板にはSSM-1Bが互い違いに配置されていますね。

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上部構造物。徹底してステルス化を図った設計となっており、舷側の手摺りも断面が菱形になるよう設計されています。

両舷に2つならんだ白い球体はNORA-1 スーバーバード衛星通信用アンテナのドームです。

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艦橋周辺。不審船事件を受けて艦橋周辺には防弾板が埋め込まれています。また艦橋の斜め後方にはCIC(戦闘指揮所)がありますね。

マストの最上部にあるのがNOLR-9 電波探知装置で、NOLR-9で捉えた電波は搭載しているSSM-1Bの照準に使用する事が出来ます。

その下にあるのが対水上レーダーのOPS-18-3。OPS-18-3は従来のOPS-18のパラボリック・トーラス型アンテナからパラボリック・シリンダー型アンテナに変更され、外見が大きく代わっています。

その斜め前方にあるのが主砲射撃管制用のFCS-2-31C。

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船首の主錨。はやぶさ型ミサイル艇では錨はこれだけとなっています。

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主砲。62口径76mm単装速射砲で、海上自衛隊では初めてとなるステルスシールドを備えています。発射寄港も独自に改良され毎分100発程度の発射速度となっているようです。

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救命浮環。小型のミサイル艇なので余り多くは装備されていません。

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Mk36 SRBOCデコイ展開システムのMk137発射機。この発射機にチャフやフレアなどのカートリッジを装填し攻撃を受けた際に発射して欺瞞を行います。展示訓練ではIRフレアの発射展示も行われました。

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水上艦用機関銃架。不審船事件に対応するため設置されており、使用する際は12.7mm重機関銃mM2を据え付けて射撃を行います。操作は人力による物。

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20センチ探照灯。一般の艦艇では30センチ信号探照灯が装備されていますが、はやぶさ型ミサイル艇ではより小型の20センチ探照灯が装備されています。

この20センチ探照灯にはシャッターがないため、信号灯として使うことは出来ません。

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6.3m級複合型作業艇。艦橋構造物と煙突の間に搭載されており、不審船などに対する臨検の際に使用されます。最大速力は28ノット。搭載人員は10名程度。

なおはやぶさ型ミサイル艇の船体内には臨検を行う特殊部隊用のスペースも確保されています。

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6.3m複合型作業艇を展開・揚収するためのクレーン。

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船尾に搭載された90式艦対艦誘導弾。SSM-1Bとも呼ばれる艦対艦ミサイルで、元々は80式空対艦誘導弾を地上発射型に改造した88式地対艦誘導弾です。

従来運用していたRGM-84 ハープーンよりも射程が長くなっており、誘導方式は中間誘導に慣性航法装置、終末誘導はアクティブレーダー誘導となっています。

発射架台や発射システムはハープーンと共通の物となっており、ハープーンと混載して同時に運用することが出来ます。

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膨脹式救命筏。藤倉ゴム社製FRN-SN-20。定員は20名で両舷に1個ずつ搭載されています。

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船尾のウォータージェットポンプ。3基が設置されています。これにより高速航行を行うことが可能で、またウォータージェットポンプ自体の向きが変わるため舵の必要がありません。

ウォータージェットポンプの上部には防護材がありますが、この防護材もステルス性を考慮し断面が菱形となっています。

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7月25日、初日の舞鶴地方隊展示訓練を終えて舞鶴港に帰ってきた「はやぶさ」。

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翌日の舞鶴地方隊展示訓練で撮影した「はやぶさ」。

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高速航行展示を行う「はやぶさ」。キーンというガスタービンエンジンの音を残しながら高速で追い抜いていきました。非常に迫力があって格好良かったですね。

またこの後IRフレアの発射展示を行うため、Mk36の発射機にはカートリッジが装填されています。因みに前方を航行しているのは「うみたか」。

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27日のサマーフェスタにて舞鶴基地内で撮影した「はやぶさ」。

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船尾側から撮影した「はやぶさ」。隣は「うみたか」。

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「はやぶさ」の表記。通常艦名の表記は船尾に書かれていますが、はやぶさ型ミサイル艇では後部の側面に書かれています。

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最後に説明書き。


・・・以上、えらい時間かかった。鉄道員日記がお送りしました。

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