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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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陸上自衛隊 AH-64D 74505号機@アジア太平洋トレードセンター

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アジア太平洋トレードセンターにて

アジア太平洋トレードセンターで3月15日に行われたOSAKA防衛・防災フェスタ。そこで撮影した陸上自衛隊の装備品を続けて掲載しています。

前回はイベントの目玉であった10式戦車を掲載しましたね。今回掲載するのはAH-64D 74505号機。このイベントに参加した唯一の航空機でした。

日本では航空施設でもない普通の広場にヘリが降りて展示されるという事はあまりないので、珍しい光景を見ることができました。

AH-64Dはアメリカのマグドネル・ダグラス社が開発した攻撃ヘリコプターで、原型機はAH-64A。1991年3月11日に初飛行しています。

原型のAH-64Aは1984年から米陸軍に配備され始め、1991年の湾岸戦争では高い攻撃能力と探知能力で多大な戦果を上げ大活躍しました。

一方で遠距離での識別・捕捉能力の不足などが明らかとなり、改良型の開発が決定されます。当初は通信能力や火器管制装置を強化したAH-64Bが開発される予定でしたが、後にAN/APG-78ロングボウ・レーダーやコクピットの改修を行うAH-64C/D計画が浮上しAH-64B計画は吸収されます。

AH-64C/D計画ではロングボウ・レーダーを搭載しない機体をAH-64C、搭載する機体をAH-64Dとしていましたが、後に非搭載型もAH-64Dと改称され、AH-64Dのみが残っています。

AH-64DはAH-64Aから大幅な改修が行われ、ロングボウ・レーダーを搭載したほかにコクピットのグラスコクピット化、ローターブレードの改良、搭載電子機器の改良などが行われています。

また新規に製造された分だけでなく既存のAH-64Aからの改修も行われており、ほぼ全てのAH-64Aが改修を受けてAH-64Dとなっています。

コクピットは操縦手席・射手席共にアナログ計器から2基の単色CRTディスプレイに変更され、グラスコクピット化が行われています。これにより非常に見やすくなったほかスイッチ数も大幅に減少しています。

機首にはアローヘッドシステムというセンサーが搭載されており、AH-64Aに搭載されていたTADS/PNVSよりも解像度が大幅に上昇し、識別範囲も従来の1.5倍となっているようです。

その他GPSやドップラー航法装置、改良型データモデムを搭載したほか、戦術データリンクシステムを搭載したことにより司令部や車両、他の航空機とリアルタイムで敵味方の位置など各種情報を共有できるようになり、見方への誤射や目標の重複などを防いでいます。

武装は機首下のターレットに固定武装としてAH-64Aと同様にM230 30mmチェーンガンを備えています。胴体側面にあるスタブウイングの翼下パイロンにはロケット弾ポッドとヘルファイアミサイルのランチャーを携行可能です。

陸上自衛隊のAH-64Dでは加えて翼端に設置したランチャーからAIM-92 ATAS空対空ミサイルを搭載する事が出来、限定的な空戦能力も備えています。

陸上自衛隊では90機を導入したAH-1Sの後継としてAH-64Dを導入し始め、富士重工業のライセンス生産で調達を開始しました。

その後2006年に配備が開始され調達が進んで居ましたが、AH-64D自体が高価で毎年数機しか調達できず単価が高騰したこと、アメリカでのAH-64Dブロック?鵺の製造が終了したことを理由として調達を打ち切り、結局13機が調達されたのみで終了しています。

現在実戦部隊としては目達原駐屯地の第3対戦車ヘリコプター隊第2飛行隊にのみ配備されており、その他は航空学校や飛行実験隊に配備されています。

写真の74505号機は5機目の陸自向けAH-64Dであり、明野駐屯地の航空学校に配備されている機体です。

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向かって左側から撮影。

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側面から撮影した胴体前方。生存性を高めるため墜落時には脚部や機関砲・胴体下部が衝撃を吸収する構想となっています。

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後方から。

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メインローター上部のAN/APG-78ロングボウ・レーダー。35GHzと95GHzのミリ波を使用したレーダーで、遠距離を探知できない代わりに高い解像度を得ることができるので、密集した目標でも個別に探知し攻撃する事ができます。

最大探知距離は静止目標で6km、動目標で10km。360度を24秒でスキャンし、必要に応じて45度・30度・15度の詳細スキャンが可能です。

最大1024個の目標を探知、256の目標を捕捉、装軌車・装輪車・対空車両・航空機・ヘリの5種類に自動的に分類し脅威度の高い順に16目標をディスプレイにリストアップして表示する事が可能です。

その他地形プロファイルモードと空対空モードがあり、地形プロファイルモードでは2.5km以内の地形の起伏を測定しパイロット用暗視装置を補完することで匍匐飛行を容易にしています。

レーダーの下部にはAN/APR-48Aレーダー周波干渉装置が取り付けられており、この装置はレーダー波をパッシブに捉え、予めプログラムされた最大100種類のレーダー波と照合し、発信位置や発信機材を特定する事が出来ます。

このAN/APR-48Aでも脅威度の判定が行われ、ロングボウ・レーダーの情報と共にディスプレイに表示されます。

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機首に設けられたアローヘッドシステム。上部にあるのがパイロット用赤外線暗視装置、下部にあるのがFLIRと昼間テレビセンサー、レーザー照射装置、レーザー追跡装置です。

また画像増強装置も備えており、パイロット用暗視装置と画像増強装置で発達型操縦センサーを、それ以外の物が発達型目標指示センサーを構成しています。

こうしてアローヘッドシステムのセンサー面がオープンで展示されることというのは珍しいことで、多くの場合はセンサー面を後方に向けて展示されます。

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アローヘッドシステムの隣に設置されたEWアンテナ。

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胴体右側のスタブウイングと各種ランチャー。スタブウイングには前縁フラップが設置され、輸送機に搭載する際などを考慮して取り外しが可能です。

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機体左側に搭載されたランチャー。右はハイドラ70用のM261ロケット弾ポッドで、1つのポッドに19発を装填する事が可能。

左側はAGM-114K/Lヘルファイア?鵺空対地ミサイルのM299ランチャー。4連装のランチャーとなっており、ロケット弾ポッドの代わりにM299ランチャーを搭載する事で最大16発のヘルファイアを携行する事が可能です。

AGM-114K/Lは第2世代のヘルファイアミサイルで、特にAGM-114LはAH-64Dと並行開発され慣性誘導とミリ波レーダー誘導による撃ちっ放し方式により発射母機の生存性を高めています。

AGM-114Kは従来通りのセミアクティブレーダーで、目標に照射したレーザーの反射をミサイルのシーカーが捕らえて目標まで飛翔する誘導方式です。従来よりも対妨害性能が向上し、射程も伸びています。

AGM-114K/L共にタンデムHEAT弾頭を持つ対戦車・対装甲車両用のミサイルですが、その他第2世代のフェルファイアには爆破破砕・焼夷弾頭を持つAGM-114M、金属サーモバリック弾頭を持つAGM-114Nがあります。

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機首下面のターレットに搭載されたM230 30mmチェーンガン。AH-64の唯一の固定武装で、搭載弾数は最大1200発、最大射程は3km。

ターレットは左右各100度まで旋回可能で、上方11度、下方60度の府仰角を取ることができます。照準には機首のアローヘッドシステムを使用します。

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エンジン。エンジンはゼネラル・エレクトリック社が開発したT700-GE-701Cが2基搭載されており、1基の標準軸出力は1660shp。片発で飛行する際は1800shpで30分間、1890shpで10分間飛行することができます。

通常時は出力に余裕があるため高度な機動飛行を行うことが可能。陸上自衛隊のAH-64DはIHIがライセンス生産したT700-IHI-701Cを搭載しています。

エンジンの後方にはエンジン排気と外気を混合し赤外線の排出を抑える赤外線サプレッサーが装備されており、赤外線誘導の対空ミサイルに捕捉される可能性を減少させています。

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テールローター。テールローターは交差角60度でX字となっており、これは騒音軽減のため。

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機体後端の尾輪とスタビレーター。スタビレーターとは全遊式の水平尾翼のことで、機動性の向上に寄与しています。

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機体下面のアンテナフェアリング。このフェアリングにはドップラーレーダーのアンテナが収められており、ドップラー効果により対地速度を算出し積分することで移動距離を検出します。

フェアリングの前方にあるのはVHFアンテナ、後方にあるのはUHFアンテナ。

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テールブームのアンテナ類。右側面のブレードアンテナはVOR用のアンテナで、その下部にあるのはIFFアンテナ、VORアンテナの後方にあるのはチャフ・フレア発射装置のマウント。

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AN/APR-39A(V)レーダー警戒装置のアンテナ。写真は機首左側の物ですが、全周を警戒するために機体の4カ所にこのアンテナが設置されています。

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最後に説明書き。


・・・以上、また505号機か。ぽっぽやがお送りしました。

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