和歌山港にて
本日和歌山港に入港した海上自衛隊のひうち型多用途支援艦4番艦 AMS-4304「げんかい」。入港シーンを撮影することは出来ませんでしたが、係留中の「げんかい」を撮影できました。
今回の入港は7月15日に実施される護衛艦「いずも」の艦艇広報に伴う物で、防舷物を運んできたようですね。いつもの艦艇広報ではこういったことは無かったので、やはり「いずも」は特別ですね。
ひうち型多用途支援艦は海上自衛隊が運用している補助艦艇の内の一つで、海上自衛隊で唯一の多用途支援艦です。民間船舶で言うところのオーシャンタグ（航洋曳船）ですね。
多用途支援艦の名前の通り、自走標的・曳航標的などを用いた訓練支援から平時・災害派遣時の物資輸送、自走不能となった艦艇の曳航など様々な任務に対応しています。ひうち型が就役するまでは81号型特務艇が同様の任務に就いていました。
船体は海洋プラントなどに補給を行うオフショア支援船をベースとしており、後部に広い作業甲板を備えているのが特徴です。基準排水量は980トンで、全長は65m、全幅は12m、深さは5.8m、喫水は3.5mというサイズ。
主機関は2500馬力のディーゼルエンジンを2基搭載しており、艦のサイズにしてはかなり強力なエンジンを積んでいます。これは大型艦を曳航することが求められた為で、ましゅう型補給艦でも1隻で曳航可能とされています。その代わりに最大速力は15ノットとなっていますね。
固定武装は特に装備されていませんが、搭載火器として12.7mm重機関銃M2と銃架が装備されています。当初1～3番艦にはありませんでしたが、港湾の警備などにも対応するため4番艦以降から搭載されるようになり、1～3番艦も後日改修されました。
搭載艇は左舷側に改7.9m内火艇、右舷側に6.3メートル複合型作業艇を搭載しています。また訓練支援を行う際には後部甲板に自走式水上標的を2隻搭載することが可能です。
1番艦は2002年に就役、2・3番艦は2004年、4・5番艦は2008年に就役しました。建造に際して随時改良が施されており、4・5番艦は対潜水艦用の水中通話機と減揺タンクを装備しています。
写真のひうち型多用途支援艦4番艦「げんかい」はユニバーサル造船京浜事業所で建造され、2006年11月7日に起工、2007年5月24日に進水、2008年2月20日に就役しました。
就役後は呉地方隊隷下の呉警備隊佐伯基地分遣隊に配備されており、大分県佐伯市の佐伯基地を定係港としています。佐伯基地は豊後水道に面した基地であり、呉基地から出港した艦艇は豊後水道をよく通るためその場所に配置されていますね。
後方から撮影した「げんかい」。艦尾部がスロープ状になっているのがわかります。
正面から撮影。
上部構造物の拡大。艦橋の前方にデッキがあり、曳航時の後方視界を確保するために後部にも窓があるのが見えますね。
艦橋上部には放水銃が1基あり、消火任務にも対応しています。また12.7mm重機関銃用の水上艦用機関銃架3形が両舷に1基ずつ取り付けられています。マストはシンプルな物で、レーダーは対水上レーダーのOPS-26のみ搭載していますね。
艦橋構造物と煙突の間にあるのが減揺タンクで、潜水艦が発射した長魚雷の回収作業時の船体動揺を抑えるために追加装備されました。1～3番艦は艦橋構造物と煙突の間に隙間があります。
艦首部の拡大。艦首にはブルワークが設けられ、ナックルラインが見えますね。
艦尾部。こちらは作業甲板兼貨物搭載甲板とされており、訓練機材や輸送する物資を搭載するスペースとなっていますね。今回もここに防舷物を搭載して和歌山港にやってきました。
縦撮りで撮影した「げんかい」。後ろのキリンクレーンと比べると船体があまり大きくないのが解ります。
なお、今回「げんかい」は和歌山港に向かう途中の昨日7月11日、愛媛県の弓削島にて給水支援を行っています。また後ろにちらっと見えている白い船は海上保安庁の巡視船「きい」ですが」、そちらも広島県三原市の糸崎港で7月10日に給水支援を行っていました。
「げんかい」が運んできた防舷物。2コ設置されていました。
・・・以上、なんとか今日中に掲載できたな。ef_end_63がお送りしました。