神戸港にて
神戸港の遊覧船から撮影した海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦。海上自衛隊の潜水艦は艦名か艦番号を船体に表記しないため、何番艦なのかは不明です。この日は2隻見ることが出来ました。
そうりゅう型潜水艦は海上自衛隊が運用している最新鋭の潜水艦です。2009年に1番艦が就役しており、以来現在までに9隻が就役していますね。建造は現在も続けられています。
海上自衛隊の潜水艦として初めて非大気依存推進(AIP)システムを採用した潜水艦であり、通常動力型潜水艦としては世界最大クラスのサイズです。AIPシステムとしてはスターリングエンジンを採用していますね。
海上自衛隊では1950年代からAIPシステムの開発を行っており、小型高圧ボイラー・タービンやクローズドサイクル・ディーゼルエンジン、燃料電池などが検討されてきました。
しかし何れもコスト面や取り扱いの難しさから採用されることはなく、1986年からスターリングエンジンの研究が始まり、スウェーデンからスターリングエンジンを輸入して各種の試験を行っていました。
2002年から潜水艦「あさしお」に搭載して実証試験が実施され、その結果を踏まえ、スターリングエンジンを搭載した量産型の潜水艦として設計されたのが今回のそうりゅう型潜水艦です。
船体は前級のおやしお型と同様の葉巻型であり、部分単殻構造となっています。おやしお型と比べると艦首や艦尾の曲線が改良されて滑らかになっており、またセイルの前方に流線形の覆いが取り付けられました。
スターリングエンジンの搭載によって全長11mのAIP区画を追加しましたが、その他の艤装を再配置して密集することによって全長の差は2mほどに収められています。
また舵の形状が従来と異なり、X舵とされました。従来はヨーイングを担当する水平舵とピッチングを担当する垂直舵を十字に組み合わせた舵でしたが、そうりゅう型ではそれらを45度傾け、全ての舵がヨーイングとピッチングの両方を担当するようになっています。
このX舵は水中での機動性に優れており、また舵が1つ損傷したとしても残りの3つで補うことが可能。一方で手動操作時の取り扱いが難しくなっているようですね。
機関は、スターリングエンジンとしてスウェーデンのコックムス社が開発した4V-275R Mk靴鮴邵蟒店でライセンス生産した物を搭載しています。またディーゼルエンジンとして川崎重工製12V25/25SBが搭載されています。
また直接スクリューを回す電動機は永久磁石交流電動機とされました。これも新機軸で、出力は5900kWとなっています。蓄電池には鉛蓄電池が使用されていますね。
なお現在建造中の11番艦以降は新たにリチウムイオン蓄電池を搭載し、それに置き換えられる形でスターリングエンジンと鉛蓄電池は廃されています。
武装としてはHU-606 533mm魚雷発射管を艦首に6門装備しており、この魚雷発射管からは89式魚雷あるいは水中発射型ハープーンを発射する事が可能です。 恐らく米海軍のMk48なども発射可能。
艦内システムは大部分がネットワーク化されており、センサー情報や航行情報・データリンク情報などはZQX-11潜水艦戦術状況表示装置に集約されて表示されます。
ソナーシステムはZQQ-7が搭載されました。このソナーシステムは艦首アレイソナー・側面アレイソナー・曳航アレイソナー・逆探ソナーなど複数のソナーを1つにまとめたものとなっています。
そうりゅう型潜水艦の水中排水量は4200tで、全長84m、全幅9.1m、深さ10.3m、喫水8.5mというサイズ。最大速力は水中の場合約20kt。水上の場合は約13ktとなります。乗員数は65名。
そうりゅう型は上記の通り9隻が就役しており、来年には10番艦が就役する予定。さらに2隻が建造中で、そうりゅう型の建造はこの12隻で終了する予定です。以降は新型の潜水艦が建造される模様。
・・・以上、おやしお型は撮った事があるがそうりゅう型は初。鉄道員日記がお送りしました。