アジア太平洋トレードセンターにて
3月15日にアジア太平洋トレードセンターで開催されたOSAKA防衛・防災フェスタ。そこで展示されていた陸上自衛隊の各種装備品を撮影順に掲載しています。
今回は93式近距離地対空誘導弾。高射特科の装備はこの93式近距離地対空誘導弾と03式中距離地対空誘導弾が参加しており、両者は並んで展示されていました。
93式近距離地対空誘導弾は陸上自衛隊の近距離防空ミサイルシステムであり、従来運用されていた35mm2連装高射機関砲L90の後継として開発されました。
1991年に制式化された個人携帯対空ミサイルである91式携帯地対空誘導弾をミサイル本体に使用し、高機動車の車体をベースに8連装発射装置を搭載しています。
同様のシステムは、アメリカ陸軍・海兵隊にもハンヴィーにFIM-92スティンガーと12.7mm機関銃を搭載したAN/TWQ-1アベンジャーシステムという物がありますね。
開発は1990年から始まり、1992年に実用試験を開始、1993年に正式採用、1994年に部隊配備が開始しています。91式携帯地対空誘導弾を使用したため開発は車載発射機とFCSに限られ、民生品も使用したことで開発機関の短縮とコストの削減が図られています。
91式携帯地対空誘導弾はFIM-92スティンガーの後継として開発された携帯式防空ミサイルシステムで、誘導方式は赤外線パッシブ誘導と可視光イメージ誘導を併用したハイブリッド型。
可視光イメージ誘導により赤外線放出の少ない目標や機体正面からの発射も可能となり、赤外線フレアなどに対する対妨害性も向上しています。
93式近距離地対空誘導弾の発射装置は4連装のランチャーが左右にあり、その間に可視光TVカメラ、赤外線センサー、レーザー発振器、レーザー受光器、敵味方識別装置アンテナが組み込まれた照準装置があります。
この93式近距離地対空誘導弾は目視照準器も備えており、指揮官のヘルメットに目視照準装置を取り付けることで、指揮官が見た方向に発射機が自動で向くようにする事ができます。
そしてその状態で目標を発見した場合、既に発射機は目標方向を向いているので指向する時間を削減でき、そのまま射手が照準装置で目標を捉えてレーザーで照準、射撃する事が可能です。
射撃の際に射手が使用する射撃統制コンソールは通常助手席に設置されていますが、車外に設置する事も可能であり、発射機が攻撃を受けた際の隊員の生存性を向上させることができます。
93式近距離地対空誘導弾は誘導装置と発射機が1台の車両に搭載された自己完結型のシステムですが、師団対空情報処理システムとのリンクを行うことが出来、対空レーダーが捉えた目標をデータリンクで即座に知ることが出来るようになり即応性が更に向上しています。
車体のベースとなる高機動車は屋根を幌からFRPのハードルーフとし、通信アンテナを前部バンパーに移動しています。
調達は1993年度から始まり、2008年度に合計113セットを調達して終了しました。写真の93式近距離地対空誘導弾は兵庫県姫路駐屯地の第3高射特科大隊第1中隊が保有する物です。
発射装置。
後方から撮影した発射装置。
手動旋回用のハンドル。
4連装発射機。上下の蓋を開けて直接手でミサイル本体を装填します。
ミサイル固定用のラック。
発射機の中間にある照準装置。上部のスノコ状のアンテナは敵味方識別装置の物ですね。
ミサイルを装填する際の足場。
銘板。写真の93式近距離地対空誘導弾は2004年2月に製造された物であることが解りますね。
最後に説明書き。
・・・以上、聖者の息吹。ぽっぽやがお送りしました。