護衛艦「しらね」艦上にて
昨年行われた海上自衛隊舞地方隊展示訓練とサマーフェスタ。とりあえず艦艇の記事の掲載が終わったので、艦の装備品を掲載していきたいと思います。
まず一番最初に撮影したのがこのシースパローの発射機。自分が乗艦券を当てたのは「しらね」で、一番上の写真は舞西港で出港を待っている間に撮影した写真です。
ミサイル発射装置3形はアメリカが開発したMk29 8連装発射機を日本製鋼所がライセンス生産したもので、海上自衛隊でははつゆき型護衛艦から搭載されました。
シースパロー個艦防空ミサイルを発射するための発射機で、しらね型はヘリコプター格納庫の上部に搭載されています。
シースパローは西側諸国で最も一般的な個艦防空ミサイルシステムであり、初期に配備されたシースパローBPDMSと改良型のシースパローIPBDMS、大きく改良が加えられた発展型シースパローの3種類があります。
シースパローBPDMSは、アメリカ陸軍とイギリス陸軍が共同開発していたXMIM-46モーラー短射程地対空ミサイルの艦載型を採用する予定だったアメリカ海軍が、モーラー計画の遅延により暫定的な防空システムとして開発した物です。
そのため応急的なシステム構成となっており、ミサイルは航空機搭載用のAIM-7EほぼそのままのRIM-7E、発射機であるMk25はアスロック用のMk112と76mm連装砲のマウントを組み合わせた物でした。
シースパローBPDMSには性能面で不満があり、特に発射機の旋回・俯仰速度が旋回速度毎秒30度・俯仰速度毎秒24度と遅く、対艦ミサイルの高機動に対応する事は困難でした。
改良型のシースパローIPBDMSはNATOによって開発が行われ、ミサイルもRIM-7EからRIM-7Hへと変更され、動翼の折りたたみが可能となり、誘導システムの軽量化によって射程も延伸されています。
その後AIM-7がAIM-7F、M、Pと発展するのに伴って、艦載型もRIM-7F、M、Pと開発が進められました。RIM-7Pの後継としてRIM-7Tが開発されていましたが、これは後に発展型シースパローとなっています。
シースパローIPBDMSでは発射機も新たに開発された物が採用されており、それが写真のMk29です。Mk25とMk29の最大の違いはそのサイズ。
Mk25から発射されていたRIM-7Eは動翼が折りたためなかったため発射機も比較的大型でしたが、Mk29から発射されるRIM-7H以降のシースパローは折りたたみが可能となり、発射機も小型化されています。
しらね型護衛艦は海上自衛隊の護衛艦で初めて個艦防空ミサイルを搭載した護衛艦です。それまでは艦対空ミサイルは艦隊防空を担うミサイル護衛艦のみに搭載されていました。
当初はシースパローBPDMSを導入し、発射機はMk25、射撃管制装置はオランダのシグナール社製WM-25の組みあわせで運用していました。
これらは2003年から2004年にかけて行われた修理の際にシースパローIPBDMSに換装されています。発射機は写真のミサイル発射装置3形、射撃管制装置は国産のFCS-2-12となりました。
換装に際して新製された物ではなく、退役したたかつき型護衛艦の物を再利用しています。1番艦「しらね」はたかつき型2番艦「きくづき」から、2番艦「くらま」はたかつき型1番艦「たかつき」から転用されました。
逆側から撮影したミサイル発射装置3形。航行中は貴重な影となることもあって、発射機の下で休むひとも多かったですね。
発射機後部。ミサイルを保護するため合成樹脂製のカバーが取り付けられています。発射の際はこのカバーをミサイルが突き破って発射されますね。
最後に説明書き。拡大してご覧ください。
・・・以上、早めに寝よう。ef_end_63がお送りしました。