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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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陸上自衛隊 155mm榴弾砲FH-70@アジア太平洋トレードセンター

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アジア太平洋トレードセンター

今年3月15日にアジア太平洋トレードセンターで撮影した陸上自衛隊の155mm榴弾砲FH-70。同所で開催されたOSAKA防衛・防災フェスタで展示されていた装備品です。

気がつけばもう半年以上経ってしまっているのですね。なんとか1年経つ前に全ての装備の掲載を終わらせてしまいたいところです。

FH-70は西ドイツ・イタリア・イギリスの共同開発で誕生した155mm榴弾砲で、1963年に合意されたNATOの要求によって西ドイツとイギリスが開発を始め、1970年にイタリアが参加しています。

1978年に製造が開始され、開発した3ヵ国と陸上自衛隊の他に、オランダ・サウジアラビア・マレーシア・モロッコ・エストニア・レバノン・ノルウェー・オマーンで運用されています。

このFH-70は牽引式の榴弾砲ですが、補助動力装置として1800ccのガソリンエンジンを搭載しており、短距離であれば自走が可能となっています。

この自走能力により射撃陣地への展開や転換のスピードが向上しています。砲架の左前には自走時用の運転席も備えられていますね。

陸上自衛隊では155mm榴弾砲M1と105mm榴弾砲M2A1の後継として採用されており、1983年から日本製鋼所でライセンス生産が行われています。

このFH-70によって本州以南の野戦特科の近代化が行われました。北海道は北方重視の戦略から優先的に近代化が行われており、1975年に制式採用された75式自走155mm榴弾砲で近代化が行われています。

現在の陸上自衛隊の主力火砲であり、最終的に480門が調達されました。現在は火砲の定数削減と共に初期に調達された物から退役が始まっており、保有数はそれより少し少ないものと思われます。

480門という配備数は採用した各国の中でも最も多い数であり、陸自に次いで多いイタリア陸軍でも162門となっています。

牽引車には7tトラックを改造した中砲けん引車が使用されています。配備数が多いため北海道以外の色々な場所で見ることができる榴弾砲ですね。

FH-70は-5.6度の俯角と+70度の仰角、56度の旋回角をトルコTが出来、砲口初速は827m/s、最大射程は通常弾で24km、ロケット補助推進弾で30km、発射速度は毎分3~6発という性能を持っています。

写真の155mm榴弾砲FH-70は兵庫県姫路駐屯地の第3特科隊第4中隊に配備されている物。

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砲身。砲身長は6.022mで口径長は39口径。

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砲口周辺のマズルブレーキ。ダブル・バッフル式が採用されており発射時の反動を軽減しています。

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砲架周辺を後方から。左側の子どもが乗っている座席が砲手席で、俯仰旋回角を調節するハンドルや照準器、発射レバーがありますね。

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砲尾部分の拡大。砲尾の鎖栓があり、鎖栓には開閉に要する時間が短い垂直鎖栓方式を採用しています。また鎖栓の他に装薬に点火するための火管弾倉が取り付けられています。

鎖栓の開放は初弾装填時は手動ですが、次弾以降は発射時の反動を利用して自動開放されます。

砲尾の手前には装填トレーがあり、ここに次弾を載せておくことで、発射時の反動を利用して砲尾と同じ高さに上昇し、後は装填棒で押し込むだけの状態にする事が可能です。

この半自動装填装置により最大毎分6発、1時間の持続射撃では毎分2発を発射可能となっています。

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砲架の前方部。移動用のタイヤと補助動力装置が取り付けられています。奥の緑色の座席が自走時の操縦手席。

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底盤。

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駐鋤。地面に食い込ませて反動を抑えます。

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照準用のパノラマ眼鏡JPERI-R13。

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牽引用のフックと左右の脚を固定するピン。

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自走時に使用する操向輪。自走時はこれを使用してステアリングを行い、射撃時と牽引時は写真のように跳ね上げられます。後方にはガントラベルロックも見えますね。


・・・以上、指から血がデトロイト。鉄道員日記がお送りしました。

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