アジア太平洋トレードセンターにて
アジア太平洋トレードセンターで3月15日に撮影した陸上自衛隊の軽装甲機動車。この日開催されたOSAKA防衛・防災フェスタで展示されていた車両です。
軽装甲機動車は陸上自衛隊が保有する装輪装甲車で、普通科などの隊員の防御力と機動力を向上させる目的で開発された装甲車です。開発は1994年から「小型装甲車」の名称で始まり、1997年から1999年にかけて試作車を製作、1999年から2000年にかけて性能・運用試験が行われました。
2000年11月に部隊仕様承認という形で採用され、「軽装甲機動車」という名称が与えられています。調達は翌年度の予算から始まっています。開発は防衛庁技術研究本部と小松製作所、製造は小松製作所。
制式化ではなく部隊使用承認という形になったのは、マイナーチェンジ周期の早い民生品を使用してコストダウンを図っているため。制式化した場合はメーカーで型落ちとなった部品でも製品を続けなければならず、コストが上昇してしまう場合があります。
車体は圧延鋼板の溶接構造で、本格的な装甲車に用いられる防弾鋼板ではなく、コスト面で優れる高張力鋼板が使用されています。防弾性能は公表されていませんが、小銃弾を防げる程度の物と思われます。
車体正面には大きな円形のハッチがあり、ここから機関銃や対戦車ミサイルを射撃する事が可能。乗員は前2名と後2名の4名ですが、ハッチを開けて後部座席の間に機関銃手を置いた場合は5名となります。
駆動方式はフロアシフトタイプの4速ATで、エンジンは160馬力の4ストローク水冷ディーゼルエンジンを搭載しています。もちろん全輪駆動。
路上最高速度は100km/h、路上航続距離は500kmの機動性を持ち、コンパクトな車体でCH-47輸送ヘリの機内搭載やパラシュートを使用した空中投下も可能です。
この軽装甲機動車は主に5つのタイプがあり、中隊指揮車、小隊指揮車、機関銃装備車、軽対戦車誘導弾装備車、偵察型に分けられます。
最も多く見られるのが機関銃装備車で、上面ハッチの前方に5.56mm機関銃MINIMI用の防楯付銃架を取り付けています。軽対戦車誘導弾装備車はその銃架が無いタイプ。
中隊指揮車・小隊指揮車は車内に無線機を搭載し、アンテナが2~3本取り付けられています。また車両によっては発煙弾発射機を搭載しています。アンテナの取り付け位置も他と異なるようですね。
偵察型は上面に銃架を取り付け、無線用アンテナ2~3本取り付けられる様になっているタイプです。また偵察型固有の装備として車体後部上面のラックがありますね。
また各タイプから派生してイラク派遣時に海外派遣仕様が登場しており、上面ハッチの全周をカバーできる装甲板やワイヤーカッター、防弾ガラスの性能向上、予備タイヤ・燃料缶用ラックの追加などが行われています。
調達は陸上自衛隊の他航空自衛隊にも行われており、基地警備用車両として運用されています。航空自衛隊が導入しているのも偵察型の軽装甲機動車ですね。
現在までに陸上自衛隊が1780両、航空自衛隊が119両の1889両が調達されています。毎年100両近い軽装甲機動車が調達されており、陸自車両にしてはかなりハイペースな調達と言えますね。
写真の軽装甲機動車は兵庫県伊丹駐屯地の第36普通科連隊本部管理中隊が保有している物で、恐らく偵察小隊に配備されている物ではないかと思います。
正面から撮影した軽装甲機動車。
後方から撮影した軽装甲機動車。
偵察型の特徴である上面のラック。
第36普通科連隊のマーク。真田幸村の兜をモチーフとし漢数字の三六をデザインに組み込んで、中央に六文銭を描いています。背後には第36普通科連隊の担任区域が描かれていますね。
このマークは昨年導入された物のようで、それ以前は虎のマークが使用されていました。
銘板。
説明書き。
・・・以上、この時のネタも残り少なくなってきた。鉄道員日記がお送りしました。