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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 LST-4001 おおすみ型輸送艦一番艦「おおすみ」@横浜港

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イメージ 1

横浜港にて

今年10月17日に横浜港で撮影した海上自衛隊のおおすみ型輸送艦1番艦LST-4001「おおすみ」。前回掲載した「ましゅう」とお尻を突き合わせる形で係留されていたのがこの「おおすみ」です。

おおすみ型輸送艦は前級のみうら型輸送艦の老朽化に伴う置き換えを目的として建造された輸送艦で、従来よりも大幅に大型化した輸送艦であり、揚陸方法も大きく異なります。

従来の海自輸送艦は浜辺に艦首を乗り上げるビーチング方式で揚陸を行っており、艦首ドアとランプ、平たい艦底が船体の基本的な形でした。しかしこの形は外洋航行能力が通常のV字船底に比べて劣っていました。

おおすみ型輸送艦では揚陸をホバークラフト型輸送艇であるLCACで行うものとし、そのために船体後部にウェルドックを配置してLCACの運用に対応しています。

水線下の構造は艦首を乗り上げる必要がなくなったため、ハルバスバウの設置などより外洋航行に向いた設計となっており、速力や安定性が大きく改善されています。

またこのおおすみ型輸送艦は海上自衛隊の艦艇で初めて全通甲板を採用しており、艦首の錨甲板を除いて船尾まで広々とした甲板を備えています。艦橋構造物は右舷側に寄せたアイランド方式となっていますね。

艦橋構造物の後方が飛行甲板であり、艦橋構造物の隣と前方は車両・物資用のスペースとされています。飛行甲板は広く、CH-47クラスの大型機を2機発着させる事が可能です。

飛行甲板の下は長さ60m、幅15m、3甲板分の高さがあるウェルドックとなっており、搭載艇のLCAC2隻や上陸用舟艇などを搭載することが出来ます。艦尾には大きな扉があり、搭載された舟艇はここから直接海上に出入りすることとなります。

艦内の第4甲板レベルに車両甲板があり、長さ100m、幅13m、2甲板分の高さが確保されています。この車両甲板の両側にサイドランプがあり、岸壁から車両が出入りする場合はサイドランプが使用されます。

車両甲板の前端と艦橋構造物の後方にはエレベーターが設置されており、車両甲板と上甲板を結んでいます。前方エレベーターは20トン、後方エレベータは15トンまで対応しています。

上甲板と車両甲板に挟まれた第2甲板はギャラリーデッキとなっており、乗員の居住区や輸送される陸自隊員の居住区が設けられていますね。

おおすみ型輸送艦の輸送能力は陸自隊員330名、3 1/2t大型トラックを上甲板に38両、車両甲板に27両の65両、90式戦車を10両搭載可能という物。なお戦車は車両甲板にしか搭載できず、またセンサを踏査した場合トラックの搭載能力は減少します。

90式戦車クラスのサイズで10両を搭載可能であり、それよりも小さい74式戦車や10式戦車であれば更に搭載可能両数が増える物と思われます。

航空機の運用能力については航空機専用の格納庫やエレベーターを持たず、固有の艦載機もありません。ただし前方エレベーターはローターを折りたためばUH-60クラスの揚降に対応しており、車両甲板を格納庫に転用する事も可能です。飛行甲板のスポットは2カ所あり、前方が駐機用スポット、後方が発着艦用スポットとなっています。

おおすみ型輸送艦にはある程度整った医療設備もあり、艦橋構造物内に手術室、歯科診療室、集中治療室、6床の入院設備を備えています。また車両甲板に陸上自衛隊の野外手術システムを展開し、更に医療能力を高めることができます。

揚陸に使用するLCACは1号型エアクッション艇であり、ビーチングよりも揚陸可能な海岸線が多い事や従来よりも高速で航行できるといった特徴があります。LCACへの搭載の際は、車両甲板の後端がウェルドックと繋がっているため、車両は艦内を自走してLCACに乗り込みます。

なおLCACは当初艦の搭載艇として扱われていましたが、3番艦の就役で総数が6隻となった事などから2004年に自衛艦籍が与えられ6隻で第1エアクッション艇隊を構成しています。

おおすみ型輸送艦の主機関は三井造船製16V42M-Aディーゼルエンジン2基で出力は13500馬力、推進器はスクリュープロペラ2軸となっています。最大速力は22ノット。

武装は自衛用の物のみ搭載されており、艦橋構造物の前後に1基ずつ高性能20mm機関砲が設置されています。またMk137 6連装デコイ発射機も4基装備されていますね。

おおすみ型輸送艦は基準排水量8900t、満載排水量14000t、全長178m、全幅25.8m、深さ17m、喫水6と言うサイズで乗員は約135名となっています。3隻が建造され、全て護衛艦隊隷下の第1輸送隊に配備されています。

通常の輸送任務に加えて災害派遣や海外派遣と言った任務にも頻繁に使用されており、また現在自衛隊が重視している島嶼防衛において非常に重要な役割を担う艦でもありますね。

写真のLST-4001「おおすみ」は1995年12月6日に起工し、1996年11月18日に進水、1998年3月11日に就役しました。

この日は観艦式参加のために横浜にやってきていましたが、米軍管理の横浜ノース・ドックに係留されていたため一般公開は行われていませんでした。

上甲板には1/2tトラックやt3 1/2tトラック、高機動車、軽装甲機動車、82式指揮通信車、96式装輪装甲車、NBC偵察車、除染車3型、3トン半水タンク車、軽レッカなどの車両が見えますね。


・・・以上、以前「しもきた」を見学したことがある。ぽっぽやがお送りしました。

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