護衛艦しらね艦上にて
一昨年7月26日に行われた舞地方隊展示訓練。自分も参加することができ、乗艦したのは護衛艦「しらね」でした。その「しらね」の装備品を掲載しています。
今回は高性能20mm機関砲です。護衛艦には必ず搭載されている装備品なので名前は知らなくても見たことはある方も多いのではないかと思いますね。
高性能20mm機関砲はアメリカ海軍が開発した近接防御火器であるMk15ファランクスの海上自衛隊での名称であり、海上自衛隊では輸入により護衛艦や一部の補助艦艇に搭載しています。
ファランクスは航空機用の機関砲として有名なM61 20mm機関砲と捜索・追尾レーダー、全周旋回可能なマウントを組み合わせた構造です。
火器管制システムは艦の戦闘システムから独立しており、完全自動で近接する目標を迎撃します。主に対艦ミサイルの迎撃を目的に開発されていますね。
高性能20mm機関砲の上部には白いレドームがあり、レドーム上部の半球部分には捜索用レーダーが、下部の円筒部分には追尾用レーダーが納められています。
レーダーはどちらもKuバンドを使用し、レドームの下に砲身、更にその下に弾倉が取り付けられています。俯仰を行う際はこれらの上部システム全体が動きますね。
ファランクス全体は6tの重量がありますが、設置に際して床面に穴を開ける必要が無く、甲板強度や重心位置さえ考慮すれば何処にでも設置する事が可能です。
最初のモデルであるBlock0からBlock1、1A、1Bといった派生型が登場しており、様々な改良が行われています。Block1Bでは赤外線センサによる光学照準が可能となっていますね。
迎撃のプロセスは、システム起動後目標が射程内に入ると射撃を開始、発射した20mm弾をレーダーで追尾して砲身の向きを修正、目標の撃破までこれを繰り返すという物。
海上自衛隊ではこのしらね型護衛艦から搭載を開始する予定でしたが、1番艦「しらね」は後日当サイトなり、2番艦「くらま」から搭載されました。
その後汎用護衛艦のはつゆき型3番艦「みねゆき」から建造時に搭載されています。導入当時米海軍では劣化ウラン弾が使用されていましたが、海上自衛隊では航空自衛隊のF-4EJで使用していた弾丸を使用していました。
その後タングステン弾芯を持つ86式20mm機関砲用徹甲弾薬包が開発されています。後に米海軍でもタングステン弾の使用に切り替えています。
多くの護衛艦ではBlock0が搭載されていますが、むらさめ型以降はBlock1が搭載されている様です。Block1Bはひゅうが型やこんごう型・あたご型に搭載されていますね。
護衛艦「しらね」は1990年にBlock0を搭載しました。Block0の中にも支持棒の有無など細かな形態の差異が見られますね。
Mk15 Block0のスペックは最大射程4500m、有効射程1500m、発射速度は毎分3000発。下部の弾倉には989発を収容する容量があります。
俯仰角は-10度から+80度まで、移動速度は毎秒86度。旋回速度は毎秒100度となっています。敵味方識別装置は無いので、近づく目標は全て自動的に追尾・迎撃を行います。
砲身とマウント部のアップ。砲身のブレを防ぐ為に支持棒を取り付けたタイプもあります。下部の弾倉からは給弾ベルトが砲身に伸びていますね。
右舷側のファランクス。トップの写真は左舷側。護衛艦「しらね」にはヘリ格納庫前方上部に2基搭載されています。
・・・以上、学園十色はホントに良い曲。鉄道員日記がお送りしました。