和歌山港にて
和歌山港で6月4日に撮影した海上保安庁のつがる型巡視船6番船「せっつ」。第5管区海上保安本部の中核を担うヘリコプター搭載型巡視船(PLH)ですね。
この日は和歌山港の沖で第5管区海上保安本部の船艇が展示訓練を行っており、この「せっつ」は招待者や一般参加者を乗せて観閲船の役目を果たしていました。
つがる型巡視船は排他的経済水域の設定により大幅に拡大した海上保安庁の活動海域に対応するため建造された巡視船で、海保初のPLHである巡視船「そうや」をタイシップとして建造されました。
公称船型をヘリコプター1機搭載型とする巡視船で、1979年から2001年にかけて9隻が建造されました。建造期間に開きがあるため、途中から改良が加えられており、細かな違いがあります。
満載排水量は4037t、全長は105.4m、全幅14.6m、水線長100m、喫水4.75m、深さ8mというサイズで、主機関にはディーゼルエンジン2基を使用し最大23ノットを発揮します。
船首にはバウスラスタ1基が設置され、航空機運用能力のために減揺タンクやフィンスタビライザーも装備されていますね。航続距離は6000海里となっています。
つがる型は船内に作戦指揮所(OIC)が設けられており、大規模な警備救難活動の際には指揮船となることがあります。1番船「つがる」のOIC室の面積は10屬任靴拭
5番船「おきなわ(元ちくぜん)」は指揮機能の向上が図られたためOIC室の面積が拡大し、写真の「せっつ」は更に航空管制室がOIC室に統合され33屬箸いμ明僂砲覆蠅泙靴拭
その後のつがる型では操舵室・OIC室・航空管制室が1つの区画に統合される、減揺タンクの移設により通信室も統合し、航海・機関・航空・通信を航海艦橋甲板に集約するなどの改良が行われています。
武装はボフォース製60口径40mm単装機銃とエリコン製20mm単装機銃を搭載していましたが、2番船以降はスペースが確保されたのみで20mm単装機銃は装備されませんでした。
3番船以降は40mm単装機銃に代えてエリコン製35mm単装機銃が搭載され、4番船以降でJM61-M 20mm多銃身機銃が搭載されました。8番船と9番船は遠隔操作・射撃管制付のJM61-RFSとなっています。
船体の後部にヘリコプター格納庫が設置されており、船尾甲板はヘリ甲板とされました。運用されるヘリコプターは当初はベル212でしたが、現在は後継のシコルスキーS-76Dが運用されています。
写真の「せっつ」はベル212のMH607「すま」を搭載機としていましたが、2015年からS-76DのMH918「しらさぎ」に置き換えられています。
PLH07「せっつ」は1983年4月5日に起工、1984年4月21日に進水、1984年9月27日に就役しました。建造は住友重工浦賀造船所で行われています。第5管区に配備され、神戸港を定係港としています。
「せっつ」の武装。前方にエリコン35mm単装機銃があり、後方に20mm多銃身機銃があります。どちらも射撃の際には機側操作として人員が配置されますね。
エリコン35mm単装機銃の発射速度は毎分550発で、最大射程は約5000m。20mm多銃身機銃は毎分450~500発で射程は約1500m。
マスト周辺。2種類の対水上レーダーが搭載されており、1番高いところにあるレーダーアンテナには「SSR」と書かれていますので、恐らく航空機用2次監視レーダーと思われます。
船橋の上部には各種アンテナや探照灯、停船命令等表示装置が設置されています。この日は海上保安庁旗の他に管区本部長旗が掲げられていました。
搭載艇と煙突。丸形の煙突が良いですね。搭載艇は救命艇2隻と作業艇1隻、高速警備救難艇1隻となっています。写真右側が高速警備救難艇、左側が救命艇です。
救命艇には推進器が見当たりませんが、使用する際は船外機を取り付けるのでしょうか。また右舷側に搭載されている作業艇は海上自衛隊の改7.9m内火艇によく似ており、もしかすると同型かもしれません。
「せっつ」船首部分。4番船「ざおう」では船首シアを0.5mから1mに拡大し耐航性の向上を図っています。
船橋部分。こうも人がぎっしり乗っていると難民船に見えてしまう悪いクセ。
正面から。
後方から。船尾形状も一部のつがる型ではことなります。
出港前、参加者を乗せる「せっつ」。
お供の巡視艇「さぎかぜ」を連れて出港。
和歌山港のキリンクレーンと。
展示訓練を終えて和歌山港に戻ってくる「せっつ」。
露払いとお供を従えて堂々の入港です。
最後にまた後ろから。ぴったりと「さぎかぜ」が付いていますね。
・・・以上、この時初めてちゃんと「せっつ」を撮影できたef_end_63がお送りしました。