和歌山港にて
和歌山港で6月4日に撮影した海上保安庁のらいざん型巡視船11番船「びざん」。この日和歌山港沖で行われた第5管区海上保安本部の展示訓練に参加していました。
らいざん型巡視船は海上保安庁が1994年から2012年にかけて就役させた180トン型の巡視船で、かつてはびざん型と名乗っていました。ネームシップの転属に伴う改名により現在の型式名となっています。
海上保安庁ではらいざん型の前級としてしんざん型(旧みはし型)を建造していましたが、らいざん型はしんざん型を基に真水や食料品の搭載量を増やし、行動可能時間の延長と居住性の向上を図ったタイプです。
1~6番船が1994年から1997年にかけて、7番船が2000年に、8番船が2004年に、9~15番船が2009年から2012年に書けて就役しており、建造期間にばらつきがあります。
その都度改良が加えられており、主機・推進器の数も異なります。最初のタイプは3基のディーゼルエンジンを主機関とし、両舷に3500馬力の16PA4V-200VGAを、中央に2400馬力の12PA4V-200VGAを配置していました。推進器は中央機が低速用のウォータージェットで、それ以外はスクリュープロペラ。
7番船では補足機能強化型とされ防弾性の向上などにより重量が増え、それを補うため中央機を両舷機と同じ3500馬力の物として出力を向上させました。また8番船以降は推進器がウォータージェット2基となり舵が廃止され、船体幅が30センチ拡張されています。
写真のPS-15「びざん」は2010年4月26日に起工し8月6日に進水、2011年4月26日に就役しました。建造は三菱重工下関造船所で行われ、第5管区海上保安本部徳島海上保安部に配備されています。
サイドビュー。PS型巡視船なので余り大きくはありません。PSはPatrol vessel Smallの略。
後方から。最近の巡視船らしいスタイルですね。
武装。RFS付きのJM61 20mm多銃身機銃を1門搭載しており、荒れた海域でも正確な射撃が可能。当初は1番船が非武装、2~6番船が13mm単装機銃を搭載していましたが、現在は全て換装されています。
7番船以降は就役時からJM61-RFSを搭載しており、またその後方に高圧放水銃も装備されています。
搭載艇。5.4m型複合艇を船体後部の左舷側に搭載しています。この複合艇を揚収・展開するためのクレーンも一部で配置が異なるようですね。
船尾周辺。「びざん」は8番船以降に該当するので推進器はウォータージェット推進器2基となっています。最大速力は35ノットを発揮することが可能。
展示訓練を終え和歌山港に戻ってきた「びざん」。
関西空港海上保安航空基地所属の巡視艇「そらかぜ」と。
徳島に帰るため和歌山港を出港してきた「びざん」。この日一般客を乗せていた「せっつ」と。
ウォータージェット特有の白波を立て、徳島へと帰っていきました。
・・・以上、一月の蒼い月。鉄道員日記がお送りしました。