舞鶴基地にて
7月27日に行われた海上自衛隊舞鶴基地サマーフェスタ。海上自衛隊の艦艇が広報を行うのと同時に岸壁の上で陸上自衛隊と航空自衛隊も広報を行っていました。
陸上自衛隊は第10戦車大隊から74式戦車と96式装輪装甲車が、第3特殊武器防護隊からNBC偵察車と写真の除染車3形(B)が展示されていました。
除戦車3形(B)は、陸上自衛隊の化学科部隊に配備されている車両で、汚染された地域、施設、車両などの除染作業に使用するために開発されました。
3 1/2tトラックをベース車両として使用しており、荷台に2500Lの容量を持つタンク、加温装置、三連ピストン式ポンプ、散布ノズル、スプレーガンなどが搭載されています。
なお車両自体にNBC防護能力は無く、実際に除染を行う場合乗員には防護服の着用が必要とされます。
この除戦車3形(B)は有事の際の除染作業の他、災害派遣時には防疫・消毒作業にも使用されます。福島第一原発事故の際にも汚染地域を出る車両の除染を行っていますね。
その他地下鉄サリン事件での消毒作業、阪神淡路大震災、東日本大震災、紀伊半島大水害など大規模災害時の消毒・防疫活動で活躍しています。
その他散水車としても使用する事が出来、また温水を作る事も出来るので野外入浴セットなどと組み合わせて運用することもできる様です。
後方から撮影した除戦車3形(B)。こちらの方が搭載装備の様子がよくわかりますね。荷台の中央部にあるかまぼこ形の箱が容量2500Lのタンクで、ステンレス鋼板製となっています。
タンクの上部には薬剤の充填口があり、タンクの水と薬剤はタンク内部に備えられている攪拌機で攪拌されます。タンクの後方には加温装置があり、除染用の温水を作る事も可能。
車体の前後には散布ノズルが設置されており、前方のノズルは前方約2mの位置で幅3.6mの散布を行うことが出来ます。またノズルの向きを手動で変え、散布範囲を変更する事も出来ます。
荷台の両端には手摺りがありますが、この手摺りは側方シャワー装置を兼ねており、シャワーパイプとなっているようです。
側方シャワー装置は外側下方45度に除染液を噴射する装置で、片側の手摺りに噴射する為の穴が21箇所開けられているようですね。よく見ると手摺りの根本付近にバルブがありますね。
加温装置の両側に手動式のホースリールが取り付けられ、スプレーホースが格納されています。スプレーホースの先端にはスプレーガンもしくはウォッシュガンが取り付けられます。
タンク内の水は消火栓や河川などから得ることも出来、そのための再充填装置も装備されています。車体の左側にはストレーナーが搭載されているのが見えますね。
荷台に隊員が乗りつつ自走し除染作業を行うこともあるので、加温装置と手摺りの間には安全ベルトを掛けることが出来ます。
除洗用薬剤には次亜塩素酸カルシウム(カルキ)などが使用されます。
スプレーガン。スプレーガンは遠距離直射と近距離噴霧放射を切り替えて使用する事ができます。主に車両や装備の除染・洗浄に使用され、荷台に乗った隊員がスプレーガンを操作しつつ走行する散布方法もあります。
ホースリール。長さ15mのスプレーホースが格納されており、空転防止のため蝶ボルトによるストッパーがリールの外側に合わせて取り付けられています。
燃料缶。燃料缶は左側に3つが搭載されており、写真左側の1個がガソリン、右側の2個が軽油用となっています。車両の燃料だけなら軽油だけでも良いのですが、加温装置の発動機がガソリンを必要とするため異なる燃料を搭載している訳です。
・・・以上、以外と奥の深い車両だった。鉄道員日記がお送りしました。