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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 MSC-684 すがしま型掃海艇四番艇「なおしま」由良港

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由良港・掃海艇なおしま船上にて

本日は和歌山県の由良港にある海上自衛隊由良基地で掃海艇の一般公開が行われました。自分も参加してきましたので久々に艦艇そのものの記事を掲載します。

今回艦艇広報を行ったのはすがしま型掃海艇の3番艇「つのしま」と4番艇「なおしま」で、なおしまが一般向けの公開を行い、つのしまは招待者のみ見学する事が出来ました。

今回の艦艇広報は由良基地分遣隊の記念行事に合わせて行われました。最近は都市部に近い艦艇広報がかなり混雑するようになったようですが、由良ではまったりと見学する事ができましたね。

すがしま型掃海艇が海上自衛隊が1999年から運用している中型掃海艇で、1999年から2007年にかけて12隻が建造されました。

海上自衛隊では初の海外派遣として1991年にペルシャ湾に掃海部隊を派遣していますが、この際に諸外国の掃海部隊と共同で任務を行い、掃海艇の性能が立ち後れていたことが判明します。

ペルシャ湾での教訓に基づいて1992年より新掃海艇向けの対機雷戦システムの研究が始まり、当時最新の掃海艇であったイギリス海軍のサンダウン級機雷掃討艇をモデルに建造されたのがこのすがしま型掃海艇です。

すがしま型掃海艇ではサンダウン級に搭載された情報処理装置、センサー類、機雷処分具が導入されています。機雷掃討を重視した掃海艇であり、機雷掃海に使用する感応掃海具は運用できる物の搭載されていません。

すがしま型の対機雷戦システムは情報処理装置を中核として構成されており、レーダーや各種センサーと連接されて航海情報管理、対機雷戦計画・評価支援機能が備えられています。

機雷探知用のソナーとしてはサンダウン級と同じ2093型ソナーが搭載されました。このソナーは可変深度式で、ウインチによって深度300mまで潜らせることが出来ます。使用周波数は80kHzと350kHzで、前者は機雷探知用に、後者は機雷類別用に使用されます。最大探知距離は1200m。

機雷処分具はフランス製のPAP-104をライセンス生産し搭載しています。従来の掃海艇では国産の機雷処分具を搭載していましたが、海外機の導入となりました。

機雷掃海用の掃海具として係維掃海具が搭載されており、これは従来通り53式普通掃海具改6が搭載されています。これは展開器により左右数百mに展開し、機雷の係維索を掃海索のカッターで切断するものです。係維索を切断され海面に浮上した係維式機雷は射撃又は爆破により処分されます。

常時搭載はされていませんが感応掃海具も運用可能で、これはオーストラリア製のDYADが使用されています。このDYADは永久磁石式の磁気掃海具と音響発生装置で感応式機雷を爆発させ処分する掃海具。必要に応じて掃海母艦などから受け取って運用されます。

船体は前級のうわじま型掃海艇の設計を踏襲していますが、機雷掃討重視となったため船尾甲板の面積が従来ほど必要でなくなり、逆に機雷処分具の格納庫を設ける必要から船首楼が延長されています。

機関はディーゼルエンジンと電動機を使用するCODOE方式で、通常航行時はディーゼルエンジンを、低速時の補助推進用として電動機が使用されています。

機雷掃討時は低速で長時間航行する必要があり、放射雑音の低減も求められたためCODOE方式となりました。ディーゼルエンジンは900馬力の三菱製6NM-TA(B)Iが、電動機は170馬力のものがそれぞれ2基搭載されています。

武装としてはJM61-M機関砲を船首部に1基搭載しています。この機関砲は機雷処分のほかに自衛用としても使用されますね。

写真のすがしま型掃海艇4番艇「なおしま」は1998年4月17日に起工し、1999年10月7日に進水、2001年3月16日に就役しました。現在は呉地方隊阪神基地隊隷下の第42掃海隊に配備されています。

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PAP-104機雷処分具。フランスのECA社が開発した機雷掃討用ROVで、フランス海軍の要求に応じて1968年から開発されました。海上自衛隊が運用しているのは1986年に開発されたMk5です。

PAP-104には機雷類別用のソナーとビデオカメラが備えられており、光ファイバーケーブルを通じて搭載母艦から遠隔操縦されます。動力源は内蔵電池。

海上自衛隊が従来運用してきた国産の機雷処分具は外部給電方式で電源ケーブルにより機動性が低かったのに対し、こちらは活動時間が短縮したものの優れた機動性を備えています。

すがしま型のモデルとなったサンダウン級以外にも西側諸国の海軍に広く採用され、400機以上が生産されました。

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船首のJM61-M多銃身機関砲。航空機搭載用のM61バルカン20mm機関砲の発射速度を下げた機関砲で、発射速度は毎分450-500発となっています。

掃海艇の他にも輸送艇や海上保安庁の巡視船に搭載されていますね。

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船首周辺。木造艇であるため船体には細い線が何本も走っていますね。機関砲の後方にあるのは機雷探知室であり、2093型ソナーのウインチが格納されています。

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船橋周辺。上部に備えられているレーダーはOPS-39Y航海用レーダー。

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船橋内部。省力化のため操舵の他に機関操縦もこの船橋から行われています。

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自動操艦装置。機雷掃討時には定点保持、機雷掃海時には航路保持が求められるため、GPSと連動した自動船位保持が可能であり、可変ピッチプロペラ、バウスラスタ、シリング舵と連動しています。

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前後進・エンジン回転数・舵角を表示する計器。

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海図台。

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船内通路の様子。

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舷側通路の様子。

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信号旗箱。艦橋の直ぐ後方が旗甲板となっています。

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煙突の間から後方を撮影。すがしま型では船橋からの後方視界向上を目的に掃海艇としては初めて2本案突となりましたが、左右後方の視界を妨げる事から、次級からは1本煙突に戻されています。

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船首周辺。機関砲に角度が付けられているのが格好いいですね。

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船尾周辺。大きなウインチが備えられていますね。掃海具巻揚装置3形です。

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掃討用クレーン。PAP-104の展開・揚収用に使用されるクレーンで、こちらも掃海具巻揚装置3形の一部のようですね。

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岸壁から撮影した船尾甲板。白い展開器や沈降器、フロートが搭載されています。

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船尾中央部のローラー装置。ここを介して係維掃海具、感応掃海具が展開されるようです。


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煙突の直後に搭載されたゴムボートと4.9m複合型作業艇。上のゴムボートも長さは4.9mで、定員は6名。

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船尾甲板で展示されていた水中処分員の各種装備とウェットスーツ。

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船内のラックに収納されていた88式鉄帽と作業用ヘルメット。

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掃海艇なおしまの舷梯。

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号鐘。

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自衛艦旗。無風だったためご覧の状態でした。

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2隻ならんだすがしま型掃海艇。色々とごちゃごちゃしているのが掃海艇らしいですね。なおしまのマストには国際信号旗がWELCOMEと掲示されていました。

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最後に真後ろから撮影したなおしま。


・・・以上、ギリギリ小雨で保ってくれた。ぽっぽやがお送りしました。

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