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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 DD-155 あさぎり型護衛艦五番艦「はまぎり」@若狭湾

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若狭湾にて

7月25・26日に若狭湾で行われた舞地方隊展示訓練。自分は26日に護衛艦「しらね」に乗艦して参加することが出来ました。その「しらね」の艦上から撮影した海上自衛隊の艦艇の写真を掲載しています。

今回はDD-155 あさぎり型護衛艦5番艦「はまぎり」。あさぎり型護衛艦は今回初めて撮影した(見るのも初めて)タイプで、翌日のサマーフェスタでは撮影出来なかったので展示訓練中のみの撮影となりました。

あさぎり型護衛艦は前級のはつゆき型護衛艦の拡大改良型として建造された汎用護衛艦で、1個護衛隊群に8隻の護衛艦と8機の哨戒ヘリで編成される八八艦隊構想の構成艦として建造されました。

同型艦は8隻で、はつゆき型護衛艦が12隻建造されているため合計20隻建造された事となります。八八艦隊構想では1個護衛隊群に5隻の汎用護衛艦を配備する計画で、海上自衛隊の護衛隊群は4個。

はつゆき型では予算と排水量の制約から、コンパクトな船体に多くの装備品を詰め込んだ設計となっていました。その後第1次中曽根内閣によって防衛費が増額されたことを受けてはつゆき型の改良型を建造することとなり、そこで計画されたのがあさぎり型です。

あさぎり型の運用構想は基本的にはつゆき型と同じであり、対空・対潜・対水上の様々な任務に対応できる汎用護衛艦として建造されています。

船体もはつゆき型と同じく遮浪甲板型を採用していますが、全長が7m長くなり、排水量は約500t大きくなっています。またはつゆき型の特徴であった船尾の3段甲板は無くなっています。

機関にはロールスロイス製スペイSM1Aガスタービンエンジンを4基使用したCOGAG方式で、出力は13500馬力。汎用護衛艦としては初めてCOGAG方式が採用されました。

はつゆき型はCOGOG方式ですが、両者の違いは高速時に高速用エンジンを併用するか否かで、COGOG方式では巡航用と高速用のどちらかしか使用しません。効率はCOGAG方式の方が良い物の、COGOG方式に比べてシステムが複雑化するという欠点もあります。

また船体に余裕が出来たため、はつゆき型の主機を並列に配置するパラレル配置から前後にずらして配置するシフト配置に変更され、被弾時の生存性が高められています。

機関がシフト配置となった影響で煙突も1本から2本になっており、1番煙突は左舷側、2番煙突は右舷側にシフトして配置されています。

あさぎり型護衛艦は1~4番艦が前期建造艦、5~8番艦が後期建造艦として建造されています。後期建造艦は排水量が50トン増加し、射撃指揮装置やレーダーが変更されています。

後期建造艦のレーダーには新たに開発された三次元レーダーのOPS-24が採用されており、OPS-24は世界初の艦載アクティブフェイズドアレイレーダーで、対空捜索能力が大幅に向上しています。

因みに前期建造艦の搭載している対空レーダーははつゆき型と同じく二次元レーダーのOPS-14。対水上レーダーは前期・後期建造艦共にOPS-28Cが搭載され、対水上・低空捜索を担当しています。

あさぎり型の搭載する戦術情報処理装置ははつゆき型のOYQ-5を発展させたOYQ-6で、リンク11への対応、対空レーダーとの連接、電子戦機能との連接など機能強化が行われています。

はつゆき型のデータリンク装置は受信用のリンク14にしか対応しておらず、あさぎり型ではリンク11に対応して送受信が可能となったため艦隊の情報共有に参加できるようになりました。

対空戦闘システムはOYQ-6とOPS-24、OPS-28C、FCS-2射撃指揮装置と、シースパロー艦対空ミサイル、62口径76mm速射砲、高性能20mm機関砲の3重の対空火網で構成されています。

射撃管制装置であるFCS-2は主砲用のFCS-2-22と対空ミサイル用のFCS-2-21が搭載されていますが、後期建造艦ではFCS-2-22がFCS-2-23に変更されており、シースパローを牽制することができる様になっています。

対潜戦闘システムははつゆき型の物を踏襲しており、船体に装備されたOQS-4Aソナー、哨戒ヘリ搭載のディッピングソナーとソノブイが主な対潜センサーとなります。

ソノブイからの情報のみOYQ-6に入力され、それ以外のセンサーからの情報は水測員によって処理された上で水中攻撃指揮装置SFCS-6Bに移管されます。

対潜火網は哨戒ヘリ搭載の短魚雷、アスロック、短魚雷発射管とこちらも3段構えとなっており、アスロックと短魚雷発射管はSFCS-6Bによって統制を受けます。

対水上戦闘システムははつゆき型と同じくハープーン対艦ミサイルによる長距離対水上攻撃力を備えており、射撃指揮装置はSWG-1 HSCLCS。

OPS-28C対水上捜索レーダーやNOLR-6C 電波探知装置、データリンクによる情報を受け、OYQ-6を介してSWG-1から目標諸元の入力が行われます。

電子戦システムはNOLR-6C 電波探知装置とOLT-3 電波妨害装置が搭載されており、ミサイルからの防護手段としてOLR-9C ミサイル警報装置、Mk36デコイ展開システムが搭載されています。

あさぎり型は当初全艦が護衛隊群に配備されていましたが、次級のむらさめ型、たかなみ型の就役によって1番艦と2番艦が練習艦となり、続くあきづき型の就役によって地方配備の2桁護衛隊に転籍しつつあります。

しかしあきづき型の建造は4隻のみとなったため、2隻が護衛隊群に残る状態となっています。なお練習艦となった2隻は現在は護衛艦に復帰しています。

あさぎり型も1番艦の就役から25年以上経つため、順次艦齢延伸改修工事が行われる予定で、運用期間をこれまでより5年から10年延長する計画です。

写真のDD-155 あさぎり型護衛艦5番艦「はまぎり」は1987年1月20日に起工し、1988年6月4日に進水、1990年1月31日に就役しています。

就役後は第1護衛隊群第48護衛隊に配備され、横須賀を定係港としていました。現在は大湊基地の護衛艦隊直轄第15護衛隊に配備され、大湊を定係港としています。

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真横から撮影した「はまぎり」。レーダー類の搭載されたマストと電波探知装置の搭載されたマストが別々となっており、2本のマストがあるのがあさぎり型の外見上特徴のですね。

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後方から撮影した「はまぎり」。大きなヘリ格納庫が目立ちます。

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艦首。艦首はクリッパー型となり、主錨は左右に取り付けられています。

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艦前方。マストの一番上に見えているのがOPS-28C対水上レーダー、その下の白いレドームがOQR-1 ヘリコプターデータリンク装置のアンテナ、更にその下がOPS-24対空レーダーです。

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別の角度から。艦首から76mm速射砲、アスロック発射機、艦橋の左右後方にCIWSとして高性能20mm機関砲が搭載されており、はつゆき型と同じ配置ですね。

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艦首の62口径76mm単装速射砲とその後方のアスロック用Mk112発射機。76mm速射砲はイタリアのオートメラーラ社が開発したコンパクト砲で、日本製鋼所でライセンス生産が行われています。

62口径76mm単装速射砲は全周旋回可能で旋回速度は60度/秒、俯角は-15度、仰角は85度、俯仰速度は35度/秒、有効射程は通常段の場合16km、発射速度は85発/分という性能です。

アスロックは短魚雷に投射用ロケットを取り付けた物で、Mk16発射システムのMk112 8連装発射機から発射されます。発射機の後方は構造物ですが、構造物の前端はアスロック弾庫となっており、弾庫から直接発射機へ装填する事が出来ます。

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前方上部構造物。あさぎり型ははつゆき型に比べて艦橋が1段低いので、押しつぶされたような印象を受けますね。露点艦橋の後方上部にはFCS-2-23が搭載されています。

更にその後方には高性能20mm機関砲がありますね。その斜め上、マストの付け根にあるのはOLT-3電波妨害装置のアンテナ。

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後部上部構造物。前部構造物との間にスライディング・パッドアイが設置され、後部構造物の前端にはRGM-84 ハープーン対艦ミサイルの発射筒があります。

はつゆき型ではハープーンの発射筒は斜め前方へ向けて搭載されていましたが、あさぎり型では左右に向けて搭載されていますね。

ハープーン発射筒の下にはHOS-302A 68式3連装短魚雷発射管が装備されています。その後方には搭載艇として改7.9m内火艇が搭載されています。

マストの後方にある白いレドームはNORA-1 スーパーバード衛星通信用アンテナで、それより一段高いところにあるレドームはミサイル管制用のFCS-2-12Gの物。

ヘリ格納庫は通常1機が使用しますが、はつゆき型よりも拡張されており緊急時には更にもう1機を収容する事が出来ます。大きな壁が垂直に立っているため、レーダーをバッチリ反射するとか。

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飛行甲板。この日は大湊航空基地の第25航空隊に所属するSH-60J 8300号機が搭載されていました。あさぎり型は初めて当初からSH-60Jの搭載を考慮した設計が行われています。

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舞地方隊展示訓練にて、観閲艦隊として参加していた「はまぎり」。敦賀港から出港し、沢山の一般参加者を乗艦させていました。

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艦隊行動をとる「はまぎり」。前方は「みょうこう」、後方は「まつゆき」。


・・・以上、なんだかなぁ。ef_end_63がお送りしました。

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