和歌山港・護衛艦あけぼの艦上にて
和歌山港で昨年7月19日に艦艇広報を行った海上自衛隊のむらさめ型護衛艦8番艦あけぼの。由良基地のネタを掲載していたため中断していましたが、装備品の掲載を再開します。
前回前々回とレーダーアンテナを掲載してきましたが、今回もレーダー関係ですね。撮影順に掲載しているのでどうしてもレーダー関係が集中しがちになります。
今回掲載するのは81式射撃指揮装置2型31A。FCS-2-31Aとも表記されますね。この記事でも以下の文章ではFCS-2と記載します。
FCS-2は海上自衛隊が護衛艦に搭載している射撃指揮装置で、艦砲及び艦対空ミサイルの射撃指揮を行っています。製造メーカーは三菱電機。
開発は三菱電機と防衛庁技術研究本部によって行われました。1970年度より小型射撃指揮装置として開発が始まり、1974年度より護衛艦「むらくも」に搭載されて海上での実用試験が行われた後、1981年に制式採用されました。はつゆき型護衛艦で実戦配備されています。
対空ミサイル・艦砲の両方を管制する10番台と艦砲のみ管制する20番台、再び両方の管制を行う様になった30番台があり、写真はFCS-2-31Aなので30番台ですね。
射撃指揮装置自体は方位盤、レーダー受信機、コンソール・信号変換器・ビデオ信号処理機・計算機・入出力板で構成されています。艦外に露出しているのは方位盤のみですね。
10番台のFCS-2-12は方位盤全体がレドーム内に納められ捜索レーダーと追尾レーダーを備えていましたが、20番台のFCS-2-21は艦砲の管制に特化し追尾レーダーのみとなっています。
FCS-2-31も追尾レーダーのみなので外見はFCS-2-21とよく似ていますね。前方の白い円盤がレーダーアンテナで、直径は約1m。Xバンドを使用するパッシブフェイズドアレイレーダーです。
目標追尾時はこの方位盤も目標の方向を指向します。360度旋回が可能で、府仰角は-1度から+100度までとれるようですね。高速で移動する目標に対処するために、方位盤も素早く俯仰旋回します。
むらさめ型には対空ミサイルとしてRIM-7MシースパローとESSMが、艦砲として62口径76mm単装速射砲が搭載されており、それらの管制を行うこととなりますね。
はつゆき型では対空ミサイルによる目標同時処理能力は1個となっていましたが、むらさめ型では砲と対空ミサイルを両方管制できるFCS-2-31を2基搭載することで同時複数目標対処が可能となっています。
むらさめ型での搭載位置は前後に2カ所で、前方は艦橋構造物上部、マストの前方にあり、後方はヘリ格納庫の上部にあります。上の写真が前方のFCS-2、下の写真が後方のFCS-2。
岸壁側から撮影した前方のFCS-2-31A。レーダーアンテナの隣にあるのは複合センサーで、TVカメラ、赤外線カメラ、レーザー測距儀が納められています。
前方FCS-2の背面。この方位盤にはDIR-2-31という形式が与えられています。
護衛艦あけぼののヘリ格納庫。一番高い位置にFCS-2-31Aが搭載されているのが見えますね。
・・・以上、入間はよく晴れたようで。鉄道員日記がお送りしました。