舞鶴港・若狭湾にて
7月25日~27日の間に舞鶴地方隊展示訓練に参加するため舞鶴を訪れていました。その際に撮影した海上自衛隊の艦艇を撮影順に掲載しています。
最近は支援船の掲載が続いていましたが、今回は支援船を離れ、やっと舞鶴地方隊展示訓練に参加した艦艇の掲載となりました。相変わらず小さい船なんですが。
今回掲載するのはPG-828 はやぶさ型ミサイル艇5番艇「うみたか」。はやぶさ型ミサイル艇は初めて掲載しますが、今回の「うみたか」はあまり良い写真を撮れませんでした。
はやぶさ型ミサイル艇は海上自衛隊第2世代のミサイル艇です。個人的に海上自衛隊の艦艇で最も好き名のがこのはやぶさ型ミサイル艇ですね。
海上自衛隊では従来の魚雷艇に代わる沿岸防衛の担い手として1号型ミサイル艇を建造し、1号型ミサイル艇はイタリア海軍のスパルヴィエロ級をベースとした水中翼船でした。
しかし1号型ミサイル艇を運用してみると船体強度や耐航性の不足によって冬季の日本海での運用が難しいことが判明し、高速域と低速域のみで中速を発揮できなかった事や航続距離の短さなどから建造は18隻の計画の内3隻で終了し、次のミサイル艇の構想が検討されるようになりました。
その構想で設計されたのがこのはやぶさ型ミサイル艇です。当初は双胴船型で要求速力は40ノットでしたが、1999年に能登半島沖不審船事件が発生。
その影響を受けて設計にも大きく変更が加えられ、要求速力は44ノットとなり船体はディープV型の滑走船形となりました。その他赤外線暗視装置・防弾板・衛星通信装置の追加が行われています。
船質はアルミ合金であり、船体は非常にステルス性に気を配った設計となっていますね。前方のレーダー反射面積を最小限の物とし、62口径76mm単装速射砲にもステルスシールドが採用されています。また舷側の手摺りなども断面形状が菱形であるなどステルス性を高める努力が徹底されています。
機関はアメリカのゼネラル・エレクトリックが開発し石川島播磨重工業がライセンス生産したLM500-G07ガスタービンエンジンを3基搭載しています。このエンジンは約30分で出撃可能な状態に出来、はやぶさ型ミサイル艇の即応性を高めています。
推進機関としてはウォータージェットポンプを採用しており、エンジンと同じく3基が装備されています。これによって最大44ノットの速力を発揮することが出来ます。
武装は対艦ミサイルとして90式艦対艦誘導弾(SSM-1B) と62口径76mm単装速射砲が搭載されており、また不審船対処用として12.7mm重機関銃M2が搭載品扱いで搭載されておりそのための銃架も両舷に1基ずつ設置されています。
対水上レーダーはOPS-18-3を、航海レーダーはOPS-20を装備しており対空レーダーは装備していません。ただし主砲射撃管制用のFCS-2で限定的な対空走査は可能。
OPS-18の走査範囲では対艦ミサイルの性能を十分発揮できない事から、はやぶさ型ミサイル艇の戦闘は他の艦艇や航空機からの情報を得るためデータリンクを搭載しています。
戦闘システムはAN/UYK-44コンピュータを使用したOYQ-8B戦術情報処理装置を中心として構成されており、AN/UYK-44によりリンク11への対応が可能となりました。
小型故に居住性はあまり良い物では無いようで、乗員のベッドは3段、食事は弁当などとなっているようですね。また高速で航行することもあって艦橋やCIC、食堂などにはしっかりとした座席が設置されており、高速航行時は全員が着席するようになっているようです。
基準排水量は200t、全長50.1m、全幅8.4m、深さ4.2m、喫水1.7m、機関出力は3基合計で16200馬力。
同型艇は6隻が建造されており、大湊・舞鶴・佐世保地方隊の警備隊・防備隊隷下の第1~3ミサイル艇隊に2隻ずつ配備されています。
写真の「うみたか」ははやぶさ型ミサイル艇の5番艇として2002年10月4日に起工、2004年5月21日に進水、2004年3月24日に就役し舞鶴警備隊第2ミサイル艇隊に配備されています。建造は6隻全てが三菱重工業下関造船所。
艦上構造物。ステルス性を重視した設計である事が見て取れますね。艦橋周辺は防弾板が設置されており、艦橋の下にはCIC(戦闘指揮所)があります。
後方から撮影した艦上構造物。塔型マストの上に対水上レーダーとしてOPS-18とNOR-9B電波探知装置が装備されていますね。その後方にはNORA-1スーパーバード衛星通信用アンテナ。
艦橋構造物と煙突の中間には臨検用として6.3m型複合型作業艇が搭載されていますね。煙突はエンジン3基に対して1本ずつの3本。船体の後部には対艦ミサイルが搭載されています。
後方から撮影した「うみたか」。通常自衛艦艇の名前は船尾に表記されていますが、はやぶさ型ミサイル艇では表記するスペースが無いため側面の船尾付近に表記されています。
船首。高速航行時に船首が浮き上がり速力が低下するのを抑えるための設計が行われており、艦橋の前方には62口径76mm単装速射砲が搭載されています。
この速射砲は海上自衛隊で広く採用されている物ですが、ステルスシールドを被せているのはこのはやぶさ型ミサイル艇のみ。
錨。はやぶさ型ミサイル艇の錨は船首に小さな物が1つだけあります。
船尾の対艦ミサイル、90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)。SSM-1Bは1980年に制式採用された80式空対艦誘導弾(ASM-1)をベースとした地上発射型の88式地対艦誘導弾(SSM-1)を基に開発された艦対艦ミサイルです。
それまで海上自衛隊で採用されていたRGM-84ハープーンよりも射程の延伸や誘導精度の向上が図られています。また発射システムはハープーンと共用することが出来ます。
むらさめ型護衛艦から搭載が始まり、はやぶさ型ミサイル艇では3発を搭載しています。発射筒は最大4連装とすることが可能ですが、はやぶさ型ミサイル艇では重量の関係からか2連装状態で搭載し、さらに1本減らして3発を搭載した状態を多く見ますね。
船体後部がミサイルの発射炎を被らないように削られているのが見えます。
7月25日、舞鶴地方隊展示訓練の初日を終えて舞鶴港に戻ってきた「うみたか」。
翌日の舞鶴地方隊展示訓練で撮影した「うみたか」。護衛艦「しらね」艦上から撮影。
高速航行展示を行う「うみたか」。キーンというガスタービンエンジンの音を残して高速で過ぎ去っていく姿はとても印象的でした。
7月27日のサマーフェスタで舞鶴基地に繋留されていた「うみたか」。
・・・以上、ブログも4連休。ぽっぽやがお送りしました。