掃海艇なおしま船上にて
昨年10月22日に海上自衛隊由良基地で艦艇広報を行った海上自衛隊のすがしま型掃海艇3番艇「つのしま」と4番艇「なおしま」。かなり掲載が進んでいるので残り僅かとなってきました。
この日は阪神基地の第42掃海隊に所属する2隻の掃海艇がやって来ており、「つのしま」は招待者のみの特別公開、「なおしま」は一般公開が行われていました。
今回掲載するのは自走式機雷処分具 PAP-104 Mk5。これまでも掃海艇の記事で写真を掲載していますが、PAP-104の単独の記事を書くのは今回が初めてですね。
PAP-104はフランスのECA社が開発した機雷掃討用の遠隔操作無人探査機(ROV)で、フランス海軍の要求に応じる形で1968年に開発されました。以来現在まで使用されていますね。
全長は2.7m、全幅は1.2m、全高は1.3mで、重量は800kgとなっています。水中では最大6ノットを発揮することが出来、動力源は内蔵するバッテリーです。
機雷掃討用ROVには外部電源式とバッテリー式がありますが、外部電源式は航続時間が長い物の水中での運動性に難があり、バッテリー式は高い運動性を確保できる一方で航続時間は外部電源式に劣ります。
センサーとしては類別用としてAIS 11高周波ソナーと識別用ビデオカメラを備えており、センサーから得られた情報や母艦からの操縦信号は光ファイバーケーブルを通じて伝えられます。
係維機雷と沈底機雷のどちらにも対応する事が可能で、係維機雷には係維索カッターで、沈底機雷には処分用爆雷で対処することとなりますね。
NATO海軍の共通装備として採用されたことからフランス以外にもイギリス・ドイツ・オーストラリアなどで採用されており、生産数は400機を超えています。
派生型としては初期量産型のMk2、輸出型のMk3、運用可能深度をより深くしたMk4、現行モデルのMk5がありますね。海上自衛隊が採用しているのはMk5のみであり、Mk5は1986年に開発されました。
海上自衛隊の掃海艇でPAP-104を装備しているのはすがしま型のみ。これはすがしま型がペルシャ湾派遣での経験からイギリスのサンダウン級機雷掃討艇をモデルとする事となり、NAUTIS-M情報処理装置、TYPE-2093ソナーと共に3点セットとして採用されたものです。
海上自衛隊では既に国産の機雷掃討用ROVを開発・運用していましたが、改めて海外機が導入され、すがしま型の次級であるひらしま型掃海艇では新規開発の国産機雷掃討具が採用されています。
後方から撮影したPAP-104。専用の架台に載せられていますね。前方に見えるシャッターはPAP-104格納庫のもの。架台はレールの上を移動するようになっています。
PAP-104前方部。恐らく前方下面の黒い部分にソナーが納められているのでしょうね。
右舷側のフィン部分。前後の推進力となるスクリューの他に、上下方向のスラスターもあります。
左舷側側面。
真後ろから。
PAP-104の下に置かれていた模擬処分用爆雷。
掃討用クレーン。PAP-104の展開・揚収に使用されます。
PAP-104の運用図。
・・・以上、「らしい」見た目だ。鉄道員日記がお送りしました。