桂駐屯地にて
昨年11月5日に京都府の桂駐屯地で撮影した陸上自衛隊の各種装備品を掲載しています。前回は軽装甲機動車を掲載しましたが、今回はその隣で展示されていた車両を掲載します。
今回掲載するのは87式偵察警戒車。全国的に配備されており砲塔がある車両のためか、割とメジャーな装備品ですね。公道上で見かけられることも多いようです。
87式偵察警戒車は1987年に制式採用された陸上自衛隊の装輪装甲車で、諸外国の偵察戦闘車に相当する装甲車両です。略称はReconnaissance Combat Vehicleの頭文字を取ってRCV。
87式が導入される以前の陸上自衛隊の偵察部隊は、一部を除いて偵察用オートバイや小型トラックなどのソフトスキン車両を使用しており、隠密偵察はともかく威力偵察は難しい状態となっていました。
そこで開発されることになったのが87式偵察警戒車で、戦後国産初の装輪装甲車である82式指揮通信車に続く装輪装甲車として、82式と同じ小松製作所が開発を担当しました。
1978年から研究が始まり、1983年に試作車を製作、1986年から実用試験に入り1987年に制式化されました。調達は1987年度から2013年度まで行われ、合計で111両が調達されています。
車体は防弾圧延鋼板の溶接構造とされ、足回りは82式と同じ3軸6輪となっています。総輪駆動可能ですが、通常時は後4輪のみ駆動するようですね。ステアリングは前4輪。
エンジン・トランスミッションも82式と同じものを採用しており、エンジンは305馬力のいすゞ製10PBI4ストロークV型10気筒ディーゼルエンジンとなっています。トランスミッションは6速MT。
乗員は車長・砲手・操縦手・前方偵察員・後方偵察員の5名で、車長と砲手のみ砲塔部に、それ以外の3名は車体部に乗車します。後方偵察員は後ろ向きに乗車する事となりますね。
武装は砲塔に25mm機関砲KBA-B02を装備しています。この機関砲はスイスのエリコン社製ですが、87式に装備されているのは日本製鋼所でライセンス生産されたもの。また同軸機銃として74式車載7.62mm機関銃を装備しています。
配備は全国的に行われており、各師団隷下の偵察隊や第7師団隷下の戦車連隊、偵察教導隊などに配備されています。写真の87式偵察警戒車は兵庫県千僧駐屯地に駐屯する第3偵察隊に配備されているもの。
正面から。砲塔があるため比較的重心が高く横転しやすいという問題点が指摘されています。
側面から。
後方から。後部にもハッチがあり、後方偵察員席に通じています。その上部には外部視察用のカメラが取り付けられていますね。
砲塔。全周旋回可能で、主砲の府仰角は-10度から+45度まで。砲塔側面には4連装の発煙弾発射機が装備されていますが、初期のタイプは3連装の発煙弾発射機が装備されていました。
25mm機関砲。エリコン社製KBA-B02はガス圧作動式の機関砲で、二重給弾方式を採用しているため徹甲弾と榴弾を切り替えて射撃することが可能です。機関砲の弾数は400発。
主砲上部の砲手用照準潜望鏡。写真ではカバーが閉じられた状態。
その隣にある車長用の照準潜望鏡。砲手用も車長用も微光暗視装置が装備されています。その上にあるのは対空照準環。
車体前部の操縦手席と前方偵察員席。向かって左側が操縦手席です。この2席には公道走行時に風防を取り付ける事ができますね。
右側面のハッチ。第1輪と第2輪の間にあり、砲塔下部と車体前方に通じています。こちらのハッチの内側には空気清浄機が取り付けられています。
左側面のハッチ。こちらは第2輪と第3輪の間にあり、ハッチの奥は後方偵察員席となっていますね。ハッチの上部には後ろを向いた潜望鏡が設置されています。
エンジンは後方偵察員席と後部ハッチを結ぶ通路の隣にあります。
タイヤと車体側面。タイヤは直径の大きなコンバットタイヤとなっており、試作車ではラジアルタイヤを採用していたようですが、量産車ではランフラットタイヤとなっています。
スノータイヤは無いので積雪時などはチェーンを巻いて走行していますね。
最後に説明書き。
・・・以上、これの体験乗車とか楽しそう。鉄道員日記がお送りしました。