煙樹ヶ浜にて
5月31日に和歌山駐屯地で行われた和歌山駐屯地創立52周年記念行事。その際に撮影した陸上自衛隊の装備品を撮影順に掲載しています。
今回掲載するのは94式水際地雷敷設装置。和歌山駐屯地に駐屯する第304水際障害中隊の最も重要な装備と言えるのがこの94式水際地雷敷設装置ですね。
94式水際地雷敷設装置は1994年に制式採用された水際地雷敷設装置で、名前の通り敵の着上陸侵攻を阻止するため水際に地雷原を迅速に構築するための装備品です。
94式水際地雷敷設装置は水陸両用車であり浜辺やスロープなどから水上に進出する事も可能。車体の両側にフロートを装備し、スクリューにより推進します。
地上走行時は車幅制限によりフロートを折りたたんだ状態で走行し、地雷の敷設時にはフロートを展開して荷台に地雷を詰め込んだ敷設器を搭載します。
敷設器には上下2段4条の投下軌条があり、通常は敷設器を2基搭載するので最大で8条の投下軌条となります。1つの投下軌条には9つの水際地雷を装填可能で、1両あたり最大72個の水際地雷を搭載できます。
94式水際地雷敷設装置は全長11800mm、全幅はフロートを折りたたんだ状態が2800mm、展開した状態が4000mm、全高3500mm、重量16トン、乗員3名、最大速度は陸上で50km/h、水上で6ノットとなっています。
機関は320馬力の水冷6気筒ディーゼルエンジンを搭載。製造は日立造船とその後身であるユニバーサル造船。操縦モードには車輪のみを回すモードとスクリューのみを回すモード、どちらも回すモードの3つがあります。
94式水際地雷敷設装置の操縦には車両操縦免許の他小型船舶操縦士免許が必要とされ、また94式水際地雷敷設装置自体も小型船舶としての登録を受けています。
敷設する地雷は94式水際地雷で、94式水際地雷には沈底式の?鵯型と係維式の?鵺型の2種類が存在します。
?鵯型は直径45cm、長さ14cm、重量40kgの円盤形で浅瀬に敷設されます。起爆は磁気及び振動の複合信管により行われます。
?鵺型は直径30cm、長さ65cm、重量45kgの円筒形で水深3m以上の海域に敷設されます。こちらは音響を感知して浮上し磁気信管で起爆する物。
?鵯型と?鵺型のどちらも敷設から発火待機までの時間、敷設から一定期間経過後の自爆までの時効時間、起爆条件を何度か経過した後に起爆する航過係数機能、磁気発火感度は3段階で調節が可能です。
爆薬にはPBX爆薬を用いて耐弾・耐爆性を高めており、信管以外に被弾した際や他の水際地雷が30mの距離で爆発しても誘爆はしないように設計されています。また?鵺型はヘリからの敷設も可能。
敷設器の代わりに人員搭載ユニットを荷台に載せることも可能で、東日本大震災の際にはダイバーを乗せて行方不明者の捜索にも使用されました。
94式水際地雷敷設装置は施設群隷下の第301、302、303、304水際障害中隊と施設教導隊に配備されています。写真の94式水際地雷敷設装置は第304水際障害中隊の物。
正面から撮影した94式水際地雷敷設装置。
後方から撮影した94式水際地雷敷設装置。フロートを折りたたんだ陸上姿勢ですね。
側面部。曲線のないまっすぐな側面ですね。
スクリュー。94式水際地雷敷設装置には舵が無く、スクリューの向きを変えて方向転換します。
人員搭載ユニット。最大搭載人員は30名。
体験乗船受付で待機する75-6519号車。和歌山駐屯地記念行事の最大の目玉がこの94式水際地雷敷設装置の体験乗船で、多くの人が参加していました。
体験乗船に使用されていた94式水際地雷敷設装置は2両で、写真の75-6519号車と75-6518号車が使用されていました。
進水シーンを動画で。こちらは75-6518号車。
水上を航行する94式水際地雷敷設装置。
人員搭載ユニット視点。
すれ違う2両の94式水際地雷敷設装置。
御坊火力発電所をバックに航行する75-6518号車。
上陸シーン。75-6518号車。
上陸シーンも動画で。75-6519号車。
上陸する75-6519号車。何となくソ連製の車両っぽい感じがするのは自分だけでしょうか。
94式水際地雷敷設装置が通った後は中型ドーザが均していましたが、一度だけ94式水際地雷敷設装置が上陸できないというトラブルが・・・中型ドーザの手を借りてなんとか上陸していました。
上陸語は一旦横にそれて、バックで体験乗船受付まで入っていました。
体験乗船よりも前となりますが、災害動態展示で水上をパレードする2両の94式水際地雷敷設装置。
海上で旋回する94式水際地雷敷設装置。
地上で展示されていた94式水際地雷敷設装置。こちらは75-6517号車。
第304水際障害中隊の表記。
最後に銘板。
・・・以上、ギリギリだぞ・・・!鉄道員日記がお送りしました。