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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 SH-60K 8418号機@護衛艦あけぼの

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和歌山港・護衛艦あけぼの艦上にて

和歌山港で7月19日に艦艇広報を行った海上自衛隊の護衛艦「あけぼの」。その「あけぼの」の飛行甲板で展示されていたのがこのSH-60K 8418号機です。

SH-60Kは1991年から配備されているSH-60Jの後継として開発された哨戒ヘリコプターで、米海軍のSH-60Bを元にしたSH-60Jから大幅な改造を行っています。

SH-60Jでは捜索用電子機器を大量に搭載したため機内空間が狭く、配備後に不審船事案や阪神淡路大震災が発生した事もあって汎用性が欠ける面が指摘されていました。

そこでSH-60Kでは対潜戦・対水上線能力の向上、人員物資輸送・警戒監視など多用途性の向上、安全性の向上を要求された上でSH-60J改として1997年に開発を開始しました。

SH-60Jからの変更点は数多く、高性能化メインローターシステムの採用、機体を延長しキャビン容量を拡大、新型の低周波アクティブソナー・逆合成開口レーダー・FLIRを搭載、僚機間データリンク機能・着艦誘導支援装置・自機防御システムも搭載されているほか、自動飛行制御装置の能力向上も行われています。

2000年7月の初飛行を予定していましたが、メインローターの開発に手間取り、2001年3月27日に初飛行しています。その後2005年に防衛庁長官の部隊仕様承認を受けSH-60Kとして採用されています。

機体形状の変更は外見的な大きな特徴で、キャビン容量は前方に33cm、上方に15cm拡大しています。SH-60Jでは搭乗可能乗員数は8名でしたが、SH-60Kでは12名となっています。

対潜戦で使用するソナー・ソノブイの他、人員輸送用の座席、警戒・監視用の機関銃など機内を様々な仕様に変更することが簡単に可能であり、多用途性を向上させています。

コクピットは飛行情報統合表示装置の15インチディスプレイ5基と戦術情報処理表示装置の大型ディスプレイ1基で構成されたグラスコクピットとされました。

エンジンは試作機はSH-60Jと同じ物でしたが、量産機ではT700-IHI-401C2に換装され、出力だけでなく耐久性も向上しています。

哨戒ヘリとして重要な捜索装置には、従来のレーダー・ソナー・ソノブイ・磁気探知機・電子戦支援装置に、FLIRや逆合成開口レーダーが加えられています。

機体に搭載されるHQS-104ディッピングソナーは低周波を発して吸音性を向上した現代の潜水艦に対応し、探知距離も伸ばしています。

またSH-60Jではソノブイから送信された音響情報は中継を行うのみで、解析はデータリンクで繋がった水上艦が行っていましたが、SH-60Kでは機上で解析を行うことが可能となりました。

それらの戦術情報などを表示する先進戦術情報処理表示装置は、探知した情報を表示するだけでなく、知識データベースを使用した戦術判断支援機能があり、目標の潜水艦の行動に対応し最も効率的な捜索計画を提供することができます。

武装としては97式短魚雷・対潜爆弾・AGM-114Mヘルファイア競潺汽ぅ襦74式車載7.62mm機関銃を搭載する事が出来、Mk46と74式機関銃か搭載できなかったSH-60Jと比べると様々な武装に対応していることが解りますね。


AGM-114Mはセミアクティブレーザー誘導で、爆破破砕・焼夷弾頭を持ち射程は8kmとなっています。元々は対戦車ミサイルなので大型艦船を撃破することはできませんが、不審船や小型艦艇には十分な威力を発揮できるとされています。

自機防御システムにはAN/AAR-60ミサイル警報装置とAN/ALE-47チャフ・フレア発射機を組み合わせて使用されています。敵のミサイル攻撃を探知すると到来方向を検出して乗員に警告し、自動的にチャフ・フレアを発射して防御を行います。チャフ・フレアは自動、半自動の他手動でも発射可能。

高性能化メインローターシステムはローターの先端が特殊な形状となっており、内側から外側に向かって10度の上半角、20度の下半角、50度の下半角が付けられています。

前縁や翼端以外は複合材料を使用して軽量かつ高性能のブレードとすることができました。先端形状の変更により直径を変更すること無く効率向上が図られ、ホバリング可能重量をSH-60Jの9900kgから10900kg に引き上げることに成功しています。一方で、最高速度はSH-60Jよりも低下しています。

調達は現在も続いており、2002年度から2015年度までに57機が調達、44機が配備されています。最終的には90機程度が調達される模様。

写真の8418号機は長崎県の大村航空基地に配備されている第22航空群第22航空隊に配備されている機体です。

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後方から撮影した8418号機。

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機首周辺。機首はFLIRや電子戦支援装置のアンテナなどを搭載したことにより従来よりも長く尖った形状となりました。

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機首部分の拡大。丸いレンズが見えるのがAN/AAR-60ミサイル警報装置の受光部で、ミサイルの発する紫外線を感知し警告を行います。

その隣の黒い大きな丸が電波探知装置のHLR-108Cアンテナ。ミサイル警報装置と共に全周に向かって設置され、様々な電波情報を収集することができます。

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機首下に搭載されたFLIR。AN/AAS-44-N1です。自動追尾機能を持ち、赤外線探知装置としての役割の他に、ヘルファイアの誘導用にレーザー・デジグネーター機能を持っています。

ヘルファイアの発射手順は、まずFLIRで目標を捉え、多機能ディスプレイに表示され、ミサイル管制装置で射撃計算が行われ、発射指示と共にレーザーパルスを照射、目標命中まで誘導という流れになっています。

レーザーパルスはミサイルごとに異なっており、複数のミサイルを誘導することが可能です。またレーザーのパルスコードは緊急時に乗員により全消去することもできます。

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機首下面に設置されたJ/HPS-105B逆合成開口レーダー。艦船の動揺によるドップラーシグネチャーを積み上げて画像化する事が可能で、小さな潜望鏡の発見やデータリンクで繋がっている水上艦の長距離対艦ミサイル使用時の目標識別などに使用されます。

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エンジンとホイスト。SH-60Jもホイストを装備していましたが、キャビン容量が小さく救難任務には余り向いていませんでした。SH-60Kでは十分な活動を行うことが出来ます。

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機体後部。垂直尾翼と水平尾翼は格納する際に折りたたむことが可能となっており、メインローターを含め全て折りたたんだ状態では非常にコンパクトになります。

左側の2つの箱と円筒はチャフ・フレア発射機とフライトデータレコーダー。上向きに取り付けられているのがチャフ発射機で、下向きがフレア発射機。フレア発射機は機体の反対側にも取り付けられていますね。

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AN/ASQ-81D(V)-4磁気探知機。潜水艦によって起きる地磁気の乱れを探知して、潜水艦を探知するためのセンサーです。

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最後に説明書き。


・・・以上、眠いけど書き終えたぞ・・・ef_end_63がお送りしました。

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