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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 MSC-682 すがしま型掃海艇2番艇「のとじま」@若狭湾

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若狭湾にて

7月26日に行われた海上自衛隊舞鶴地方隊展示訓練。そこで撮影した艦艇の写真を続けて掲載しています。今回は珍しく写真は一枚だけ。

今回掲載するのはMSC-682 すがしま型掃海艇2番艇「のとじま」。今年の舞鶴地方隊展示訓練では掃海艇は周辺警戒を行っており、近くで撮影する事が出来ませんでした。

すがしま型掃海艇は1999年から就役している海上自衛隊の掃海艇で、自衛隊にとって初の海外実任務であったペルシャ湾派遣の経験を踏まえて建造されました。

1945年9月2日の旧海軍解体後、海軍省から業務を引き継いだ第二復員省は復員の他に航路啓開業務も引き継いでおり、日米両軍が設置した機雷の処分を行っていました。

その後は復員庁、運輸省、海上保安庁と組織は変わりつつも航路啓開は続けられ、1952年8月1日に海上警備隊と航路啓開本部は海上保安庁から独立、保安庁の傘下の警備隊となりました。

その後1954年7月1日の防衛庁設置により警備隊は海上自衛隊となり、航路啓開も海上自衛隊の任務となります。

このように海上自衛隊ではその創設以前から掃海を行っており、そのノウハウを反映した掃海艇を国産していました。一方で1990年代に入るまで地道な整備しか行われてきませんでした。

そして1991年のペルシャ湾派遣。湾岸戦争でイラク軍が設置した機雷の中にはステルス魚雷もあり、派遣された掃海艇では探知及び処分がきわめて困難である事が判明しました。

また諸外国が派遣した掃海艦艇と比べて装備面で大きく劣ることも判明し、そのことから行われた新しい対機雷戦システムの研究結果を反映した掃海艇がすがしま型掃海艇です。

船体は概ね前級のうわじま型掃海艇の物を踏襲した設計で、磁気を感知する魚雷に対応するため木像千体となっています。使用されている木材はキール摩材がケヤキ、合板がタモ、それ以外がベイマツです。

一方でうわじま型では掃海具の展張のため船尾甲板が必要とされていたのに対し、こちらは機雷処分具や水中処分員を使った機雷掃討を重視し、機雷処分具の格納庫を設けたため比較的船尾甲板は狭いですね。

機関には従来使用されてきたディーゼルエンジンの他、低速時用として電動推進も併用されています。これは機雷掃討時に低速かつ長時間航行する必要性があり、また放射雑音の低減も求められたため。

ディーゼルエンジンには三菱製6MN-1A(B)Iエンジンが2基搭載されており、電動機は170馬力の物が2基搭載されています。推進器はスクリュープロペラで2軸。

艦橋からの後方視界を向上するため掃海艇としては初めて煙突が2本並列配置となりましたが、左右後方の視界を妨げることから次級のひらしま型掃海艇から1本煙突に戻されています。

機雷掃海はカッターや磁気を発生させる電纜、音を発する発音体を曳航して行う為航路保持が求められますが、機雷掃討の場合は定点保持が求められます。

そのためGPSと連動した自動船位保持装置が導入され、可変ピッチプロペラ、バウスラスター、シリング舵が採用されて運動性能と定点保持性能の向上が図られています。

またすがしま型掃海艇の大きな特徴として情報処理装置を中核とした対機雷戦システムが構築されていることであり、情報処理装置にはイギリス製のNAUTIS-Mが採用されました。

NAUTIS-Mはレーダーやソナーなどの機雷探知機と連接され、航海管理、対機雷戦計画、評価支援機能を備えています。

機雷探知機となるソナーは可変深度式のTYPE-2093が採用され、TYPE-2093は深度300メートルまで吊り下げることが可能。最大1200メートルの探知距離と0.3度の分解能を両立したソナーです。

レーダーにはOPS-39Y対水上レーダーが装備されています。OPS-39は1993年に開発された掃海艦艇用の対水上レーダーで、前級のうわじま型掃海艇から装備されています。

掃海装備は、機雷掃討用にフランス製PAP-104 Mk5機雷処分具がライセンス生産により装備され、初の海外機となりました。それ以前の国産機が母船と電源ケーブルで接続された外部電源式だったのに対し、PAP-104では電池を内蔵しています。

電池を内蔵したことによって母船とのケーブルは光ファイバーケーブルのみとなり、従来の機雷処分具よりも機動性が向上しています。一方で活動可能時間は短縮しました。

また日本周辺には機雷掃討に向かない泥質な海底も多いことから機雷掃海能力も与えられており、係維機雷に対応する係維掃海具には53式普通掃海具改6が装備されています。

音響・磁気感知機雷に対応する感応掃海具はオーストラリア製のDYADが使用されます。このDYADは永久磁石を使用した磁気掃海具と水流で音響を発生させるパイプノイズメーカーを使用した音響掃海具による複合掃海具です。

DYADは常に装備されているわけではなく、必要に応じて掃海母艦などから受け取る必要があるため運用に制約が多く、次級のひらしま型掃海艇では自艇搭載とされました。

武装は自衛及び機雷処分用にJM61-M 20mm多銃身機関砲が船首に搭載されています。JM61-Mは航空機搭載用の機関砲であるM61バルカンを艦載化した物で、発射速度を毎分450~500発に落として人力操砲式としています。

写真のMSC-682「のとじま」は1996年5月8日に起工され、1997年9月3日に進水、1999年3月16日に就役しました。建造は日立造船神奈川工場で行われました。

現在は舞鶴地方隊隷下の第44掃海隊に配備されており、舞鶴港を定係港としています。上記の通り今年の舞鶴地方隊展示訓練では周辺警戒を行っており、かなり遠くからしか撮影出来ませんでした。

上の写真は超望遠で撮影した上にトリミングしています。翌日の舞鶴基地サマーフェスタにも参加したのですが、掃海艇は別の岸壁であり、一旦基地の外に出る時間もなかったため写真は上の1枚のみとなりました。

実はこの「のとじま」、2012年3月25日に阪神基地で行われた掃海艇「まきしま」の一般公開の際に撮影しています。当時は呉地方隊阪神基地隊隷下の第42掃海隊所属でした。


・・・以上、支援船よりも撮ってないもんなァ。鉄道員日記がお送りしました。

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