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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 SH-60K 8424号機@護衛艦あきづき

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和歌山港・護衛艦あきづき艦上にて

7月16・17日に艦艇広報を行った海上自衛隊のあきづき型護衛艦1番艦「あきづき」。その「あきづき」に搭載されていたのが写真のSH-60K 8424号機でした。

昨年7月に和歌山港で艦艇広報を行ったむらさめ型護衛艦9番艦「あけぼの」も艦尾の飛行甲板にSH-60Kを展示しての艦艇広報でした。という事でこうして護衛艦に搭載されたSH-60Kを見るのも約1年ぶりです。

海上自衛隊では艦載用対潜哨戒ヘリとして米海軍のSH-60Bを基にしたSH-60Jを運用してきましたが、SH-60Jは対潜哨戒専用機として搭載電子機器が多く、機内空間が狭いため汎用性に欠けるという欠点がありました。

また従来よりも不審船事案や大規模災害への対応など任務の多様化に応ずることが必要とされ、SH-60Jの老朽代替を機に能力向上型を日本独自に開発することとなりました。

開発に当たって要求されたのは対潜戦・対水上戦能力の向上、多用途製の向上、安全性の向上で、これらの実現のために機体そのものやエンジンまで手が加えられています。

研究は1992年から始まり、1997年から制式に開発が始まりました。その後2001年3月27日に初飛行、2005年に部隊使用承認が降りて制式採用され量産機が海自に納入されました。

機体は機内容量確保のために大型化しており、室内空間は前方に33cm、上方に15cm拡大しています。機首も電子機器搭載のために再設計され、前方に長く伸びた形状となりました。

機体右側に設置されているドアは胴体の拡張に伴ってSH-60Jの1枚式から分割2枚式となっており、救難任務や輸送任務などにより柔軟に対応することが可能となっています。

機体左側には大型のウエポンパイロンが張り出しており、従来よりも多くの武装を搭載できるようになりました。右側にも従来通りパイロンがありますが、装備位置はSH-60Jよりも後方に移動しています。

コクピットは完全なグラスコクピットであり、飛行情報統合表示装置用ディスプレイ5基と戦術情報処理表示装置用大型ディスプレイ1基で構成されています。

エンジンはゼネラルエレクトリックで開発され、IHIでライセンス生産されたT700-IHI-401C2を2基搭載し、離昇時出力が1800shpから2145shpへ向上しました。

哨戒任務用の各種センサーに関しては、ソナーが従来よりも低周波を使用するディッピングソナーとなり、静音性の向上した現在の潜水艦に対応すると共に探知距離を伸ばしています。

ディッピングソナーに加えてソノブイを使用することも可能で、SH-60Jでは得られたソナー情報はデータリンクを介して搭載艦で解析を行っていたのに対し、SH-60Kではデータリンクが途切れた場合でも機上解析が可能で自ら追尾を行うことが可能となりました。

レーダーには逆合成開口レーダーが追加されました。これは目標に反射したドップラーシフトを映像化するレーダーで、目標の識別に効果を発揮し潜望鏡などの小さな目標も発見しやすくなっています。

武装はSH-60JがMk46魚雷のみしか搭載ず、74式機銃を搭載する場合は一部の装備を取り外す必要があったのに対して、SH-60Kではより多様な武装が搭載可能です。

新たに搭載可能となった装備の目玉と言えばAGM-114M ヘルファイア橋亟魯潺汽ぅ襪如△海離潺汽ぅ襪榔篦垢気譴慎∥虜限Δ離僖ぅ蹈鵑縫薀鵐船磧爾魏陲靴禿觝椶気譴泙后

AGM-114と言えば本来は対戦車ミサイルとして開発されたミサイルであり、通常の対艦攻撃には威力不足ですが、小型艇の撃沈や無力化には十分な威力を発揮するとされています。

その他97式魚雷や対潜爆弾も搭載可能で、97式魚雷により高速・深深度で潜航する潜水艦を攻撃できます。逆に魚雷が威力を発揮できない浅海域では対潜爆弾を使用します。

自機防御システムとしてはミサイル警報装置とチャフ・フレアディスペンサーが組み合わされており、これらは脅威を探知すると自動で連動してチャフ・フレアを放出する事も可能です。

調達は2002年度から始まり、現在までに74機が調達されています。最終的には90機程度が調達される予定。

写真の8424号機は長崎県の大村航空基地に配備されている第22航空群第22航空隊の第221飛行隊に配備されている機体ですね。

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飛行甲板上の8424号機。機体左側に張り出したパイロンが特徴的ですね。

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機首周辺。上述の通りSH-60Jよりも長く鋭い機首形状となっており、コクピット周辺には防弾板が装備されているようです。

機首下部にはHPS-105Bレーダーが装備され、対水上捜索により目標の探知・識別を行い搭載艦とデータリンクを行う他、味方艦が対艦ミサイルの発射に必要な情報の提供も行います。

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テールブーム周辺。尾部のスタビレーターや垂直尾翼は折りたたむことが可能で、コンパクトに格納することができます。

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機体左側面。大型パイロンの上部にはバブルウインドウがあり、これもSH-60Jより大型化しています。バブルウインドウの後方にはソノブイランチャーがありますが、カバーが取り付けられていました。

トラ柄のテープが貼られているのは機器冷却用の空気取り入れ口で、搭載電子機器の増加に伴ってSH-60Jの1基から2基に増強されました。

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機内の様子。手前にあるのはHQS-104ディッピングソナーで、機内から海中に吊り下げて使用します。機上搭載と低周波の使用を両立するため、送受波機は折りたたみ式となりました。

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センサーマン席。戦術情報などを表示するコンソールが設置されていますね。

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機首のセンサー部の拡大。青色に見える窓があるセンサーはAN/AAR-60ミサイル警報装置で、紫外線光学パッシブ式。接近するミサイルのロケットモーターが発する紫外線を感知します。

その隣の黒いセンサーは電子戦支援装置のセンサーで、敵艦船や航空機などから発せられたレーダー波やミサイル誘導波を探知し即座に位置を割り出します。

黒いセンサーの下にあるのはデータリンク用のアンテナで、SH-60Jよりも迅速に大量の情報を送受信することが可能となっています。その反対側にあるのはFLIRですね。

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前方監視型赤外線装置(FLIR)。レイセオン製AN/AAS-44-N1です。SH-60Kに搭載されているのは富士通でライセンス生産されたものですね。このFLIRは目標の捜索・追尾だけでなくAGM-114Mの誘導も行います。

AGM-114Mはセミアクティブレーザー誘導で、このFLIRから誘導用のレーザーが照射されます。ミサイルごとにレーザーパルスが異なるため、複数のミサイルを誘導することも可能。


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機体尾部に設置されているAN/ASQ-81(V)磁気探知機。潜水艦が航行することによる磁場の乱れを探知することで潜水艦を捜索します。使用時は機体からの干渉を避ける為に空中に曳航されますね。

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AN/ALE-47チャフ・フレアディスペンサーとフライトデータレコーダー。上向きの箱がチャフ発射機、下向きの箱がフレア発射機で円形の箱がフライトデータレコーダーです。機体左側に設置。

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機体右側に設置されたフレア発射機。フレア発射機だけは左右に装備されています。

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ホイスト。捜索救難任務に必要な装備で、隊員の降下や要救助者の収容などに使用します。最大吊り上げ能力は600lbs(272kg)。

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機体右側のウエポンパイロン。

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メインローター先端。SH-60Kでは高性能メインローターシステムとしてローターブレードが新開発となり、先端部の形状が10度の上半角、20度の下半角、50度の下半角が付けられた特殊なものとなっています。

ローターブレードは前縁や端部を除いて複合材で製造されており、軽量かつ高強度のブレードとなりました。これによりローター直径を変更することなくホバリング可能重量が1t増加しています。

一方でこの特殊な形状は空気抵抗を生むことから最大速力はSH-60Jから約30km/h低下しています。

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着艦誘導支援装置の機上部。着艦誘導支援装置は搭載艦に自動で着艦進入するためのシステムで、搭載艦に設置された誘導センサーが機上部の赤外線マーカーを追尾することでリフレクタにレーザーを照射して相対距離を計測することで自動着艦を可能としています。

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テールブームの下面に設置されたデータリンク用アンテナとVHF/UHFブレードアンテナ、VORアンテナ。

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主脚。

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尾輪。

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機体係止用のリング。

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艦外から撮影した8424号機。

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最後に説明書き。


・・・以上、明日は遅くなるだろうし。鉄道員日記がお送りしました。

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