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Channel: 鉄道員日記(ぽっぽやにっき)
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海上自衛隊 MSC-681 すがしま型掃海艇一番艇「すがしま」@若狭湾

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若狭湾にて

7月26日に行われた海上自衛隊舞鶴地方隊展示訓練。自分は護衛艦しらねの乗艦券が当たり、運良く参加することが出来ました。そこで撮影した海上自衛隊の艦艇を撮影順に掲載しています。

前回前々回と訓練海域の周辺警戒を行っていた掃海艇と水中処分母船を掲載しましたが、今回も同じく周辺警戒を行った掃海艇です。

MSC-681 すがしま型掃海艇1番艇「すがしま」。すがしま型掃海艇のネームシップで、2番艇の「のとじま」と共に舞鶴地方隊隷下の第44掃海隊に配備されています。

すがしま型掃海艇は1991年の自衛隊ペルシャ湾派遣において、諸外国と比べると装備面で立ち遅れていることが判明したため建造された掃海艇です。

従来の掃海艇が係維掃海具や感応掃海具を展開して航路を啓開する機雷掃海を重視していたのに対し、すがしま型掃海艇は機雷処分具や水中処分員により個々の機雷を無力化する機雷掃討を重視しています。

ペルシャ湾派遣の翌年から海上自衛隊で新対機雷戦システムの研究が始まり、イギリス海軍が運用していたサンダウン級機雷掃討艇をモデルとした設計が行われることとなりました。

掃海装備は、サンダウン級で搭載された情報処理装置・機雷探知機・機雷処分具の3セットが導入されています。

情報処理装置はイギリスのGECマルコーニ社製NAUTIS-M情報処理装置が採用されました。このNAUTIS-Mはサンダウン級用に開発された情報処理装置で、レーダーや機雷探知機と連接し公開情報管理、対機雷戦計画、評価支援機能を備えています。

機雷探知機には可変深度式のTYPE-2093ソナーが搭載され、このソナーもサンダウン級に搭載されている物と同じです。TYPE-2093ソナーは機雷探知用に80kHz、類別用に350kHzの周波数を使用し、最大1200mの探知距離と0.3度の分解能を持っています。

このソナーは上部構造物前方の甲板室内に格納されており、ウィンチにより深度300mまで吊り下げることが出来ます。ソナー使用時の最大速力は12ノット。

機雷処分具としてはフランス製PAP-104 Mk5を装備しています。従来の掃海艇でも国産の機雷処分具を使用していましたが、すがしま型掃海艇では初の海外機としてPAP-104が採用されました。

PAP-104はサンダウン級の他13ヵ国の海軍で導入されている機雷処分具で、従来の国産機が電源ケーブルを接続して外部電源に頼っていたのに対し、PAP-104では電池を内蔵してケーブルは通信用の光ファイバーのみとする事で機動性を向上させています。一方で活動時間は短くなっていますね。

機雷掃討メインの掃海艇ではある物の、機雷掃海用の装備も搭載されており、係維掃海具としては従来の掃海艇と同じく53式普通掃海具(O型)改6が搭載されています。

この掃海具は展開器により掃海索を左右数百mに展開し、同時に沈降機により一定深度に沈降させて曳航して係維式機雷の係維索を切断していく方式の掃海具です。

感応掃海具はオーストラリアのADI社製DYADを使用しています。DYADは永久磁石を使用した磁気掃海具と水流を使用した音響発生装置により構成され、設備電力を必要としていません。

そのためすがしま型掃海艇では掃海発電機を搭載していません。またDYADは運用能力を持つのみで搭載はされておらず、使用する際は掃海母艦などから受け取る必要があり、運用には制約があります。

船型は概ね前級のうわじま型掃海艇の物が踏襲されていますが、掃海重視の掃海艇では掃海具の展開のため広い船尾甲板が必要とされていたのに対し、すがしま型掃海艇は掃討重視であるためその必要は薄れた一方でPAP-104の格納庫や居住性を向上させる必要があったことから船首楼が延長され、船尾甲板は狭くなっています。

磁気機雷に対応するため船体は木製となっており、キール摩材はケヤキ、合板にタモ、それ以外にはベイマツが使用されています。

機関は三菱6NM-TA(B)Iディーゼルエンジンが2基搭載され、出力は900馬力となっています。推進機関はスクリュープロペラ2軸。煙突は後方視界の向上のため初めて2本並列配置となりましたが、運用の結果左右後方の視界を妨げる事から、次級のひらしま型掃海艇では1本煙突に戻されています。

また機雷掃討時には長時間低速で航行する必要があり、低速時用の補助推進装置として170馬力の電動機が2基搭載されています。電動機の採用は水中放射雑音の低減にも貢献しています。

掃海具を曳航する機雷掃海時には航路保持が求められるのに対し、機雷掃討には定点保持が求められることからGPSと連動した自動船位保持装置が新たに導入されています。

運動性能や定点保持性能を向上させるためスクリュープロペラは可変ピッチプロペラで。バウスラスターやシリング舵も採用されています。

すがしま型掃海艇1番艇「すがしま」は1995年度計画によって建造され、1996年5月8日に起工、1997年8月25日に進水、1999年3月16日に就役しています。建造は日本鋼管鶴見事業所で行われました。

上記の通り所属は舞鶴地方隊隷下の第44掃海隊で、定係港は舞鶴。第44掃海隊には2隻の掃海艇が配備されており、今年の舞鶴地方隊展示訓練では共に訓練海域の啓開を行っていました。


・・・以上、案の定はまりました。WCWのED。ぽっぽやがお送りしました。

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